- 著者
-
武井 貴裕
- 出版者
- 一般社団法人 日本農村医学会
- 雑誌
- 日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, pp.444, 2010
安城更生病院は、平成21年7月よりDPC対象病院となった。当初の試算にて出来高請求金額とDPC請求金額には大きな隔たりがあった。DPCでは、入院期間内に従来の医療の質を維持しつつコストを抑えた医療の組み立てが要求される。当院におけるDPC導入への取り組みについて述べる。DPCを導入する為の病院の方針として、「医療の質の維持」、「収入の確保」この2つを決定した。この方針の下、当院のDPC導入への取り組みは、大きく分けて_丸1_全職員周知活動、_丸2_収支分析、_丸3_全職員収支分析報告、_丸4_DPC対応型クリニカルパスの作成です。周知会にて、DPCへ移行した場合の当院の現状、改善策の必要性について全職員を対象に説明を行った。その中で現状のままDPCへ移行した場合に年間で約4億円の減収となる事を示した。その結果、全職員に危機感が現れ、DPC導入は全職員で取り組むべき課題であると認識する結果となった。医師に対しては、各診療科のカンファレンスを訪問し、DPC導入した場合に医療の抑制は行わない事、診療上必要な行為は施行してもらう事を説明した上で適正な改善策の実行やクリニカルパスの見直しを依頼した。 結果としては減収と予想されていた収支がDPC導入後には増収となる結果であった。その要因としては、平均在院日数の短縮、病床利用率の維持、費用として計上される診療行為の外来移行と適正化、DPC対応型クリニカルパスの作成、コーディングの精度向上、全職員への周知が挙げられる。特に全職員への周知は一番重要であったと考える。DPCを導入するにあたり一部の事務員がDPC制度を理解し導入を進めていくのではなく、全職員がDPC制度を理解し同じ方向性を持ち、協力体制を構築していかなければ安城更生病院でのDPC導入は不可能であったと考える。その協力体制を築けた事が医療の質を保ちつつ収入の確保に繋がったと考える。