著者
武田 信生 高岡 昌輝 大下 和徹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.259-270, 2008-11-28 (Released:2011-06-27)
参考文献数
23

火葬場から排出される有害物質の実態を調査し, 排出抑制策を検討することを目的とし, 4箇所の火葬炉にて, 排ガスや灰中の塩素化・臭素化ダイオキシン類, 水銀, 六価クロムなどの測定を行った. その結果, 排ガス中ダイオキシン類は, 算術平均で0.42ng-TEQ/m3N (O212%換算) であり, この結果から, 排出インベントリーは最大1.1g-TEQ/年と試算され, 現在の試算値の1/5程度まで低減されていると推定された. 排ガス中水銀は, JIS法ではほとんどが定量下限以下であったが, 形態別水銀連続分析では過去の調査と同様に歯科アマルガム由来と考えられるHg0が大きな寄与を占めることが確認された. 灰中の重金属は, 全試料で六価クロムの溶出量が, 土壌環境基準の180-1200倍となり対策が必要であると考えられた.
著者
高岡 昌輝 武田 信生 小田 烈弘 藤山 弘道 藤吉 秀昭 森本 林
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, pp.256-263, 1998-09-30

平成6年度から平成8年度にわたり行った全国87のごみ焼却施設を対象にした保全整備の実態調査と平成7年度に行った廃炉の実態調査からごみ焼却施設の寿命の推定を試みた。まず, ごみ焼却施設の寿命を表す分布形を決定するため, 廃炉のデータに対して正規分布, 対数正規分布, ワイブル分布の適用を試みた。ワイブル分布の適合度がよく, ごみ焼却施設の寿命は15.7年と推定された。保全整備実態調査の補修のデータについてワイブル分布を適用したところごみ焼却施設全体の寿命は19.2年と, 設備のつながりを考慮した最小寿命系の場合は16.4年と推定された。保全整備費のデータより焼却炉形式, ガス冷却形式の違いによる寿命の比較では, 全連・ストーカ・ボイラーの施設が18.2~37.4年の範囲であることが推定され, 最も長寿命であった。また, ワイブル分布の形状母数からごみ焼却施設はゆるやかな磨耗故障を示す分布で表されることがわかった。
著者
堂本 真吾 江口 正司 高岡 昌輝 松本 忠生 大下 和徹 武田 信生
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.309-319, 2006-11-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
23
被引用文献数
1

地球規模での水銀汚染に関して人為的発生源は重要である。未知発生源の1つとして火葬炉から排出される水銀の挙動を調査した。火葬炉のバグフィルタ出口においてOntario Hydro Methodを基にした水銀形態別連続分析計を用い, 34検体の排ガス中水銀濃度を連続測定した。排ガス中の総水銀濃度は4.3μg/m3NでHg0が2.2μg/m3N, Hg2+が2.1μg/m3Nであった。1御遺体あたりの水銀排出量は51.8mg/人と見積もられ, 年間死亡人口との関係から年間水銀排出量は57.0kg/年と推定された。イギリスでの規制値案としては水銀排出量150mg/4人 (37.5mg/人) である。この規制値と今回の結果を比較すると34検体中12検体がこの規制を満たしていないことがわかった。また年齢階級別に平均水銀排出量を算出すると65-69歳の階級で最大の142mg/人の排出量となった。これは過去に歯科治療にアマルガムが多く利用されてきたことと喪失歯が少ないことが原因と考えられた。また過去の歯科治療におけるアマルガム使用推移から水銀排出量の将来予測を行った。その結果歯科治療履歴からの推測では, 2005年現在で1670~2380kg/年と見積もられた。実測値からの推測と治療歴からの推測には大きな隔たりがあった。将来動向としてはこれから約20年後に水銀排出のピークを迎えることが示唆された。