著者
今井 玄哉 塩田 憲司 高岡 昌輝 大下 和徹 水野 忠雄 森澤 眞輔
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第21回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.192, 2010 (Released:2010-11-07)

本研究では廃棄物焼却炉から排出されるSPM、PM2.5の実態を明らかにすることを目的とし、実際に稼働している廃棄物焼却炉(4施設)における排ガス中のばいじんを集塵装置(バグフィルター)前と煙突前で粒径別に捕集してばいじん量の変化を測定し、また電気集塵機が使われていた同一施設における1998年の調査結果と今回の結果とを比較することで新旧集塵装置の評価を行った。4施設の煙突前の排ガス中ダスト濃度の平均値は1998年時点に比べ1/200以下に低減されていた。全粒径ダストの集塵効率はいずれの工場においても99.97%以上であり、設備更新前に比べ上昇した。PM2.5の集塵効率については99.93%以上であった。最新式の排ガス処理設備が導入された廃棄物焼却炉からは一次粒子としてのSPM、PM2.5の排出は極めて少ないと考えられ、また1998年の調査結果と比べダイオキシン類対策の効果が認められた。
著者
武田 信生 高岡 昌輝 大下 和徹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.259-270, 2008-11-28 (Released:2011-06-27)
参考文献数
23

火葬場から排出される有害物質の実態を調査し, 排出抑制策を検討することを目的とし, 4箇所の火葬炉にて, 排ガスや灰中の塩素化・臭素化ダイオキシン類, 水銀, 六価クロムなどの測定を行った. その結果, 排ガス中ダイオキシン類は, 算術平均で0.42ng-TEQ/m3N (O212%換算) であり, この結果から, 排出インベントリーは最大1.1g-TEQ/年と試算され, 現在の試算値の1/5程度まで低減されていると推定された. 排ガス中水銀は, JIS法ではほとんどが定量下限以下であったが, 形態別水銀連続分析では過去の調査と同様に歯科アマルガム由来と考えられるHg0が大きな寄与を占めることが確認された. 灰中の重金属は, 全試料で六価クロムの溶出量が, 土壌環境基準の180-1200倍となり対策が必要であると考えられた.
著者
堂本 真吾 江口 正司 高岡 昌輝 松本 忠生 大下 和徹 武田 信生
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.309-319, 2006-11-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
23
被引用文献数
1

地球規模での水銀汚染に関して人為的発生源は重要である。未知発生源の1つとして火葬炉から排出される水銀の挙動を調査した。火葬炉のバグフィルタ出口においてOntario Hydro Methodを基にした水銀形態別連続分析計を用い, 34検体の排ガス中水銀濃度を連続測定した。排ガス中の総水銀濃度は4.3μg/m3NでHg0が2.2μg/m3N, Hg2+が2.1μg/m3Nであった。1御遺体あたりの水銀排出量は51.8mg/人と見積もられ, 年間死亡人口との関係から年間水銀排出量は57.0kg/年と推定された。イギリスでの規制値案としては水銀排出量150mg/4人 (37.5mg/人) である。この規制値と今回の結果を比較すると34検体中12検体がこの規制を満たしていないことがわかった。また年齢階級別に平均水銀排出量を算出すると65-69歳の階級で最大の142mg/人の排出量となった。これは過去に歯科治療にアマルガムが多く利用されてきたことと喪失歯が少ないことが原因と考えられた。また過去の歯科治療におけるアマルガム使用推移から水銀排出量の将来予測を行った。その結果歯科治療履歴からの推測では, 2005年現在で1670~2380kg/年と見積もられた。実測値からの推測と治療歴からの推測には大きな隔たりがあった。将来動向としてはこれから約20年後に水銀排出のピークを迎えることが示唆された。
著者
高岡 昌輝 大下 和徹 朱 芬芬
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

セメント産業の焼却残渣受入れ容量および受入れ基準に注目し、焼却残渣をセメント原料として用いることを想定した省エネルギー・省コストな廃棄物処理の技術的システムの開発を試みた。排ガス処理における薬剤をナトリウム系に変更することで飛灰の洗浄およびその後の焼成において塩素が容易に除去でき、飛灰量および最終残渣中の塩素量を削減できることおよびナトリウム系薬剤の使用時のダイオキシン類生成抑制メカニズムを明らかにした。