著者
倉田 敬子 松林 麻実子 武田 将季
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.119-127, 2017-05-01 (Released:2017-05-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1

研究データ共有に関して,新しい研究のあり方のビジョン,国・地域を超えた標準的ルールの設定,国・地域としての推進策などが議論されている。しかし,研究におけるデータ共有を推進するための具体的な施策については,海外でも事例報告や現状調査がなされだしたところである。本稿では,日本の大学・研究機関における,研究データの管理,保管,公開の現状に関して行った質問紙調査の結果を報告する。494機関に対して,研究データのオープン化の現状認識,研究データに関するガイドラインおよび管理計画,研究データ公開のための機関としての整備状況などについて尋ねた。その結果,データ管理計画もデータ保管のための整備もほとんど進んでいないこと,研究不正行為への対応のためのガイドラインのみ対応がなされていることが明らかになった。
著者
武田 将季
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.196-210, 2017 (Released:2017-12-29)
参考文献数
61
被引用文献数
1

本研究では,情報過多による探索行動の困難を回避するための手段として,キュレーションによる情報提示に着目し,ユーザの思考状態や精神的負荷,情報行動に対して,どのような変化をもたらすかを明らかにすることを目的とした。実験参加者30人を,キュレーションにより情報提示を受ける群とサーチエンジンで検索されたWeb ページから情報提示を受ける群に15 人ずつ無作為に割り付け,性質の異なる2 つのタスクを用いて実験を行い,脳波解析を行った。その結果,キュレーションされた情報提示を受けることで,特に,ページ閲覧時の集中状態が高くなる,精神的負荷が低くなる等の変化が観察された。加えて,ページ内のナビゲーションに従って多くの情報を入手するタイプのタスクでは,キュレーションされたWeb ページから情報を受ける群の,クエリ投入時における精神的負荷も低減されていることが分かった。
著者
武田 将季
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.67-83, 2019 (Released:2019-06-28)
参考文献数
78

本研究では,内因性瞬目が個人の情報処理における認知的状態を反映することを利用し,1)キュレーションによって構造化された情報を参照した場合,また,構造化されたページを起点に個別のページへアクセスして参照した場合と2)サーチエンジンの検索結果一覧ページとそれを起点にして個別のページへアクセスし,参照した場合では,それぞれユーザによる情報処理がどのように行われ,どのように異なるかについて検討した。 その結果,タスク全体で見た時,いずれのタスクにおいても,キュレーションされた情報を利用した場合に評価や判断等の思考を伴う情報の取り込みを行なっていることが推定された。また,閲覧したページを,起点となるページ(P1)および個別のページ(P2)に分けて分析したところ,旅行タスクのP1 およびP2,レポートタスクのP1 において,キュレーションされた情報を利用した場合の方が,外部におかれた情報の取り込みにとどまらず,評価や判断等の思考を伴う情報の取り込みを行なっていることが推定された。