著者
帖佐 直紀 濱中 秀昭 黒木 修司 比嘉 聖 永井 琢哉 李 徳哲 黒木 智文 帖佐 悦男
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.374-377, 2021-09-25 (Released:2021-11-12)
参考文献数
11

【抄録】乳児の頸椎疾患に対しての手術は稀で本邦でも報告数は少ない.今回,点状軟骨異形成症の乳児に対して手術を施行した稀な症例を経験したので報告する.【症例】生後50日,女児.妊娠37週2日で出生.胎児期から鼻の低形成が疑われていた.出生時に第1啼泣なく陥没呼吸が強いため人工呼吸器にて管理された.画像所見にて点状石灰化や環軸椎亜脱臼による脊髄圧迫の所見の他,鼻根部低形成などの特徴的顔貌から点状軟骨異形成症が疑われた.手術目的に転院となり,環椎後弓切除術と大後頭孔減圧術を施行した.術後は四肢の麻痺や筋力低下なく経過し,術後の画像所見でも圧迫が解除されていた.【考察】点状軟骨異形成症の頸椎病変に対する治療の基準は確立されていない.本症例では生後50日と乳児のため環椎後弓切除術と大後頭孔減圧術のみとし,今後不安定性が残存する場合は固定も考慮される.児の年齢や罹患場所に応じた治療を選択する事が重要である.
著者
比嘉 聖 帖佐 悦男 坂本 武郎 渡邊 信二 関本 朝久 濱田 浩朗 野崎 正太郎 前田 和徳 中村 嘉宏 舩元 太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.458-461, 2007 (Released:2007-11-27)
参考文献数
3

脛骨に発生した骨線維性異形成(OFD)に対し,腫瘍切除後の巨大骨欠損をβ-TCPのみにて補填した3症例(男性1例,女性2例,手術時平均年齢14歳11か月)を経験したので報告する.【方法】腫瘍をen blocにボーンソーにて切除し,β-TCPにて骨欠損を補填し,不安定性への対処としてギプス固定またはplateにて固定した.【考察】OFDに対する治療において,単純掻爬骨移植では再発例が多いというのは以前より報告されていることであり,拡大切除を選択している施設も多い.当科でも同様であるが,骨欠損部が大きくなり自家骨のみでは補填困難である.当科ではBone bankのシステムも確立しておらず,症例が若年者であり採骨のリスクを考えβ-TCPのみで対処した.今回の症例ではβ-TCPは骨に置換され現時点では副作用も認められないので巨大骨欠損に対する補填材料として有用と考えられた.
著者
黒木 智文 永井 琢哉 北島 潤弥 李 徳哲 川野 啓介 比嘉 聖 黒木 修司 関本 朝久 濱中 秀昭 帖佐 悦男
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.819-822, 2018-09-25 (Released:2018-11-12)
参考文献数
7

保存加療に抵抗性の硬膜欠損を伴う特発性脳表ヘモジデリン沈着症に対し,硬膜閉鎖術を施行し,良好な経過をたどった1例を経験した.症例は64歳,男性.1995年頃に騒音性難聴と診断されたが,日常生活に支障はなかった.2012年から歩行時のふらつき,2013年から右難聴,耳鳴が出現した.2014年に健康診断の頭部MRIにて,小脳萎縮と脳表へのヘモジデリン沈着を指摘された.2015年に止血剤投与,2016年にブラッドパッチ施行されるも,徐々に症状は増悪し,2017年当科紹介となった.入院時,両側感音難聴と体幹失調を認め,頚椎MRIのCISS法にてTh4/5レベルの硬膜腹側左傍正中部に6 mm×3 mm大の硬膜欠損,C6からTh7の脊柱管腹側硬膜外腔への液体貯留を認めた.後方進入による硬膜閉鎖術を施行し,歩行時のふらつきが改善した.硬膜欠損に伴う脳表ヘモジデリン沈着症に対しては,観血的な硬膜閉鎖術が有効であると考えられた.