- 著者
-
比多岡 清司
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.5, pp.446, 2014 (Released:2016-06-21)
- 参考文献数
- 1
インシリコ創薬は,従来の実験を主体とした手法に理論・計算化学に基づく分子科学計算を応用した創薬手法である.近年の飛躍的なコンピュータの演算能力の向上も相俟って,従来の試行錯誤的なアプローチをより効率化・迅速化させることが期待されている.例えば,インシリコ技術を活用してタンパク質に対する薬物(リガンド)の結合親和性を評価する場合,ドッキングや古典的な結合自由エネルギー評価法(molecular mechanics/Poisson-Boltzmann surface area:MM/PBSA)などのポストドッキング解析は,実用的かつ簡便な手法であると考えられる.一方,その精度についてはどうであろう.本稿では,ドッキングやMM/PBSAの解析において,リガンドとタンパク質の結合を媒介する水分子(架橋水)や電子分極効果の重要性ならびに,これらが予測精度に与える影響を議論・検討したLiuらの報告を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Liu J. et al., J. Chem. Inf. Model., 53, 1306-1314 (2013).