- 著者
-
毛塚 剛司
- 出版者
- 日本神経眼科学会
- 雑誌
- 神経眼科 (ISSN:02897024)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.1, pp.5-12, 2014-03-25 (Released:2014-07-11)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
-
5
視神経脊髄炎は特発性視神経炎に比べると頻度が少なく,難治性となりやすい.近年,抗aquapolin 4(AQP4)抗体と視神経脊髄炎との関係性が明らかにされ,治療への道筋が徐々に解明されつつある.抗AQP4抗体陽性視神経炎は,急激な発症であり,一般的にステロイド抵抗性で,多彩な視野変化をきたす.また,抗AQP4抗体陽性視神経炎ではグリア細胞の1種であるアストロサイトが標的細胞となり,男女比が1:9で女性に多い.一方,抗Myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体陽性視神経炎はオリゴデンドロサイトが標的細胞となり,抗AQP4抗体陽性視神経炎と同様,視神経から視交叉,視索にかけて障害が起きやすい.このため,抗MOG抗体陽性視神経炎は抗AQP4抗体陽性視神経炎とよく似た視野変化を示す.抗MOG抗体陽性視神経炎の予後は比較的良好だが,ステロイド大量療法に対して反応が悪いことがあり,再発しやすい.抗AQP4抗体陽性,もしくは抗MOG 抗体陽性視神経炎の両者とも,治療法はまずステロイドパルス療法を始めに行うが,抵抗性の場合は血漿交換療法や免疫吸着療法,免疫グロブリン大量療法などを行う.