著者
今本 博臣 後藤 浩一 白井 明夫 鷲谷 いづみ
出版者
Ecology and Civil Engineering Society
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-14, 2003-08-30 (Released:2009-05-22)
参考文献数
12
被引用文献数
6 5

1998~2000年にかけて公団管理15ダムの無土壌岩盤法面で,植生調査および毎木調査を実施し,以下の結果を得た。調査区は無土壌岩盤が19カ所,林縁部が4カ所,対比区が3カ所であった.・外来牧草主体の緑化工を実施した地区は,施工後20年以上経過しても依然として外来牧草が優占しており,在来種への移行がほとんどみられなかった.・緑化工を実施していない地区は,施工後20年以上経過すると,アカマツ,ハリエンジュ,ハゼノキ,アカメガシワ,ヌルデ,リョウブ等の先駆性樹種を中心とした樹林に移行していた.・在来種の中ではアカメガシワ,リョウブ,アカマツ,ヌルデが,岩,れき質といった植生の生育基盤としてもっとも悪い場所においても良好な生育を示した.・無土壌岩盤法面における生育樹種は,基盤条件が大きな影響を与えているという傾向が見られた.・植物の多様度は,外来牧草主体の緑化工を実施した調査区で低く,緑化工を実施していない調査区および緑化工を実施した林縁部で高かった.
著者
後藤 浩子 Goto Hiroko
出版者
法政大学経済学部学会
雑誌
経済志林 (ISSN:00229741)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.105-136, 2016-03

This paper analyzes the formation of the concept of a "museum" in eighteenth-century France. During the reigns of Louis XIV and Louis XV, the Royal Academy of Paintings and Sculpture formed a professional art institution, which consisted of artists, connoisseurs and conservators. This institution worked out a plan for a Grand Gallery under the supervision of d'Angiville, who was the general director of buildings, arts and manufacturing under Louis XV. This plan, however, was suspended by the French Revolution, and an art museum was then established after a large struggle between the Gironde and the Montagne. This paper analyzes how arts professionals, borrowing their framework from the field of natural history, invented the "museum" and re-evaluated fine art created during the period of "unenlightenment".
著者
後藤 浩之
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

地震断層を伴うような地表断層地震と,地表断層を伴わない潜在断層地震では,同じ規模の地震の場合に潜在断層地震の方が強い地震動を生成する.本研究では,震源深さと地殻の地震発生層の下部深さの関係に着目し,潜在断層地震で強い地震動が生成される力学的な背景を明らかにした.潜在断層地震の場合にはパルス状の破壊,すなわち同じ地震規模でも短時間にエネルギーの集中した地震動を発生させる傾向にあることを,数値実験により示した.地震断層を伴うような地表断層地震と,地表断層を伴わない潜在断層地震では,同じ規模の地震の場合に潜在断層地震の方が強い地震動を生成する.本研究では,震源深さと地殻の地震発生層の下部深さの関係に着目し,潜在断層地震で強い地震動が生成される力学的な背景を明らかにした.潜在断層地震の場合にはパルス状の破壊,すなわち同じ地震規模でも短時間にエネルギーの集中した地震動を発生させる傾向にあることを,数値実験により示した.
著者
田澤 聖子 菅野 敦子 秦 規子 小林 昭子 原澤 佳代子 毛塚 剛司 後藤 浩
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.107-111, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
15

小児の外転神経麻痺は多くの場合、脳腫瘍や頭蓋内圧亢進、外傷などによって引き起こされる。一方、ウイルス感染やワクチン接種に関連した外転神経麻痺の発症は比較的稀である。 インフルエンザワクチン接種後に良性再発性外転神経麻痺を繰り返し発症した5歳女児の症例を経験したので報告する。初回の麻痺は2か月後に回復したが、その1年後に再発した。再発時の麻痺は、約3か月後に回復した。発症の度に頭部CTを施行したが、明らかな異常は発見されなかった。 小児の外転神経麻痺ではウイルス感染やワクチン接種について詳細に尋ねること、再発の可能性を考慮して経過観察を続けることが重要である。
著者
奥村 与志弘 後藤 浩之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_750-I_757, 2013 (Released:2013-06-19)
参考文献数
27

プレート境界で設定するすべりに対して分岐断層で設定するすべりがどの程度であるべきかについての知見はこれまで十分に得られていない.本研究では,プレート境界で発生した破壊が浅部に向かって伝搬する場合に,プレート境界に破壊が伝搬する場合と分岐断層に破壊が伝搬する場合とで,どのように違うのか力学的に考察した.また,発生する津波の特徴の観点から両シナリオの違いを整理した.
著者
稲谷 昌之 後藤 浩之 盛川 仁 小倉 祐美子 徳江 聡 Xin-rui ZHANG 岩崎 政浩 荒木 正之 澤田 純男 ZERVA Aspasia
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_758-I_766, 2013 (Released:2013-06-19)
参考文献数
7
被引用文献数
1

2011年東北地方太平洋沖地震では内陸部の宮城県大崎市古川地区において地震動による構造物被害が多く発生した.古川地区の中でも一部地域に被害が集中していることから,その原因の一つとして地盤震動特性の違いが考えられる.そこで,本研究では古川地区に展開されている超高密度地震観測のデータを利用して地盤震動特性の違いを検討した,古川地区内の地盤が各点毎に構造の異なる一次元水平成層構造であると仮定して地盤モデルを推定したところ,被害が集中した地域において表層地盤が厚くなる傾向が見られた.ただし,推定した地盤モデルを用いて時刻歴観測波形の再現を試みたところ,一部の観測点には再現出来ない特徴的なフェーズが認められた.このことは,表層の地盤構造を一次元水平成層構造でモデル化するという従来の枠組みでは,古川地区の地震動を説明する上で本質的に不十分であることを示唆している.
著者
浅野 晃太 後藤 浩之 奥村 与志弘 澤田 純男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.I_638-I_648, 2021 (Released:2021-07-22)
参考文献数
20

2018年大阪府北部の地震について,被害の大きかった大阪府高槻市,茨木市に着目し,地震による被害の詳細な分布を推定した.両市の罹災証明書発行数データに基づいて建物被害率を推定した結果,被害が局所的に集中している地域があることが明らかとなった.この結果を既存の地盤増幅率の分布のみで単純に説明することは難しいが,高齢化率の分布とは一定の対応が見られた.特に高槻市内で局所的に被害率の高い3つのエリアについて,町の成り立ちや土地利用の変遷なども考慮しつつ分析を進めたところ,地震動の特性,地質や地盤の条件といった自然的要因のほかに地域特有の歴史を背景とした住宅の特徴などが被害分布に影響を与えた可能性が示された.
著者
梅原 久範 岡崎 和一 川 茂幸 高橋 裕樹 後藤 浩 松井 祥子 石坂 信和 赤水 尚史 佐藤 康晴 川野 充弘 厚生労働省難治性疾患等政策研究事業IgG4関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究班 IgG4関連疾患包括診断基準改訂ワーキンググループ
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.962-969, 2021-05-10 (Released:2022-05-10)
参考文献数
31
被引用文献数
3

IgG4関連疾患(IgG4-related disease:IgG4-RD)は,Mikulicz病,自己免疫疾患,間質性腎炎,前立腺炎,後腹膜線維症等多彩な疾患を含む病態で,今世紀に本邦から発信された興味深い疾患である.厚生労働省のIgG4関連疾患研究班は,2011年に世界で初めての診断基準であるIgG4関連疾患包括診断基準を発表した.これにより,この新疾患は広く世界に受け入れられ,世界中から多くの報告がなされた.しかし,実臨床においては,生検組織が得られない組織があること,血清IgG4(immunoglobulin G4)値や組織中IgG4陽性細胞数のカットオフ値に対する感度・特異度等の問題が生じてきた.そのため,厚生労働省IgG4関連疾患研究班は,IgG4関連疾患包括診断基準2011を改訂した,2020年 改訂 IgG4関連疾患包括診断基準を提唱する.改訂基準は,1)臨床的・放射線学的診断,2)血清学的診断,3)病理学的診断の3項目からなる.さらに,改訂された病理学的診断基準は,従来の2項目に加え,花筵様線維化と閉塞性静脈炎を含めた3項目から構成される.
著者
後藤 浩志 武藤 正樹 池田 俊也 百瀬 泰行
出版者
一般社団法人 日本老年薬学会
雑誌
日本老年薬学会雑誌 (ISSN:24334065)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.7-15, 2022-06-30 (Released:2022-07-22)
参考文献数
16

Objective: This study aimed to clarify the actual prescription status of patients covered through the “Screening Tool for Older Person’s Appropriate Prescriptions for Japanese” (STOPP-J).Methods: Patients aged ≥ 75 years who received oral medications for chronic diseases were classified into two groups: multidrug and non-multidrug groups. The number of drugs according to the drug class and the number of STOPP-J drugs prescribed were examined.Results: This study included 8,192 patients. The average number of medications was 4.1, and its percentage in the multidrug group was 26.4%. The multidrug group presented a higher number of physicians and percentage of STOPP-J prescriptions than the other group. The highest percentage of prescribed multidrug use included antithrombotics (82.5%), digitalis (76.2%), and diuretics (73.2%).Conclusion: The multidrug group presented a higher percentage of STOPP-J prescriptions than the non-multidrug group.
著者
後藤 浩
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.25, no.59, pp.521-525, 2019-02-20 (Released:2019-02-20)
参考文献数
23
被引用文献数
3 2

The serious flood disaster occurred at the river basin of Kinu-river in September of 2015. The disaster was called “Kanto-Tohoku heavy rain fall in September 2015”. In this disaster, the levee of Kinu-river was breached, and the flood flow had spread over the urban area of Joso city in Ibaraki prefecture. In this study, research on flood resistant architectures was reviewed. Also, the numerical simulation on the flood flow was performed. And, the reason why the houses had been swept away was discussed on the basis of the result of simulation. Furthermore, a necessity of hazard maps considering an inundation depth and a flood velocity was pointed out.
著者
伊藤 朗 三上 俊夫 丹 信介 後藤 浩史 井川 幸雄
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
尿酸 (ISSN:03884120)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.38-47, 1984 (Released:2012-11-27)
参考文献数
14
被引用文献数
3

The study was investigated effects of different kinds of exercise on serum uric acid as the basic research data for preventing athletes and non-athletes from exercised-induced hyperuricemia and carring out exercise treatment for hyperuricemia. The results were summarized as follows: 1) Changes in serum uric acid on different kinds of exercise: On an exhaustive exercise on a bicycle ergometer for 5-10 min, serum uric acid was gradually increased, and reached a peak at 2 hrs after exercise. And then it was gradually decreased until 24 hrs after exercise, but was significantly 9.9% higher at 24 hrs after exercise than before exercise (p<0.001). On a 12 min-run, serum uric acid reached a peak immediatly after ex ercise, and then kept the same level until 2 hrs after exercise. On a 2 hrs running on a treadmill, serum uric acid showed a linear increase, and reached a peak at 45 min during exercise. And then it was the same level until 90 min after exercise. 2) Comparison of the degree of increase in serum uric acid on different kinds of exercise: The degree of increase in serum uric acid against before exercise was the largest (+87.9%, p<0.001) on an exhaustive exercise on a bicycle ergometer in untrained subjects, and was with a range of +9.0 to +34.2% on a 12-min -run, a 2 hrs running on a treadmill and so on. 3) Relationship between exercise in t e nsity and increase inserum uric acid when the amount of exercise was the same: The increase in serum uric acid after exercise was proportional to exercise intensity on 60%, 80%, and 100% V02 max. But serum uric acid was almost unchanged after 40% V02 max exercise, and tended to be decreased after 30% V02 max exercise. 4) The ratio of appearence of exercise-induced hyperuricophenomenon (phenomenon of a temporary high level of serum uric acid over 7 mg/dl after severe exercise): The ratio of appearence of exercise-induced hyperurico-phenomenon was 38.1% (75 out of 197 untrained subjects) at 5,000m run, and 53.3% (16 out of 30 trained subjects) at 12-min-run. 5) Effects of training on the degree of increase in serum uric acid after exercise: After training of walking and jogging for 4 months, the mean distance of 12-min-run was increased (2,444m→2,611m), but the degree of increase in serum uric acid after 12mm-run was decreased (+18.3%→+9.1%) in contrast to before training.
著者
土屋 隆司 松岡 彰彦 後藤 浩一 荻野 隆彦 中尾 寿朗 竹林 一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.673, pp.21-27, 2004-02-24

近年、利用者の置かれた状況を考慮してサービスを提供するコンテクストアウェアサービスへの関心が高まっている。我々は、利用者の移動行程と現在位置を照合しつつ、利用者の置かれた状況に即した案内情報を提供する、コンテクストアウェアな旅行者案内システムを提案する。本研究では端末として携帯電話を、位置検知装置として自動改札機を使用し、実運用可能な鉄道旅客向け情報配信システムを実装し、評価した。本稿ではこのシステムのコンセプト、システム構成、および小田急線のフィールドを用いた実証実験での評価結果についても報告するとともに、今後の公共交通利用者向け案内システムの満たすべき要件、課題等について議論する。
著者
後藤 浩之 澤田 純男 吉田 望 羽田 浩二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.I_1061-I_1070, 2014 (Released:2014-07-15)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

2011年東北地方太平洋沖地震の本震において福島県浪江町で記録された地震動の特徴と,地震動により被災した浪江町市街地の建築被害悉皆調査の結果を整理した.浪江町に位置する防災科学技術研究所KiK-net浪江(FKSH20)の観測記録は,他の浜通り地方の記録と比較してピーク周期の異なる強い地震動であったことを示唆している.この成因は,最表層が軟弱地盤であることのみならず,深い基盤構造の影響も考えられる.公益立ち入りが可能となった直後に実施した市街地の建築被害悉皆調査から,同地域の木造建物全壊率は11%と算出される.観測点周辺の木造全壊率とPGVとの対応は過去の地震におけるデータと比較して矛盾しない.また,市街地を代表的な3地区とその他の地区に分割して地区毎の全壊率を算出したところ,自然堤防上と考えられる地区の全壊率が有意に低いことが統計的に示された.
著者
後藤 浩子
出版者
法政大学経済学部学会
雑誌
経済志林 (ISSN:00229741)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.1-31, 2012-09

In the research field of Irish history, William Petty (1623-87) has been seen as an English absentee who was granted land in Ireland during the Cromwellian era as a result of the Down Survey he carried out. Also, in the history of economic thought, he has been recognized as a founder of political arithmetic. Only scant attention has been paid to the relationship between his writings and his background. Recent research on Petty, however, has not only created an awareness of the importance of his concern to have Ireland improve and progress but has also given considerable attention to the context of his writings. In broad terms, his writings can be understood as a politico-economic theory of settlements for the purpose of the governance of the British Empire. This paper principally aims to analyze the formation of governmental reason (raison gouvernementale) in Petty's writings. To begin with, we define Michel Foucault's concept of governmentality (gouvernementalité) and his view on the formation of politico-economic thought in Great Britain, and compare this with the opinions of J. G. A. Pocock. Then, we analyze the influence of Francis Bacon and Thomas Hobbes on Petty, and, finally, we describe him as a founder of the Irish tradition of governmental reason.
著者
後藤 浩 石野 和男 玉井 信行 竹澤 三雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_695-I_700, 2015 (Released:2015-09-04)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震津波では,津波によって甚大な人的損失を生じた.今後,津波の規模によっては,海岸保全施設による防護だけでなく,住民の積極的な避難行動により減災を促進させようという提案が散見される. 本研究では,地域に密着した存在である寺院に注目し,その寺院の避難場所としての機能について,東北地方太平洋沖地震津波の浸水域およびその近傍に存在する寺院を中心にアンケート調査を行い,津波時の状況を調査した.また,この調査を踏まえて,今後,南海トラフ巨大地震に伴う津波の想定浸水域に存在する寺院へアンケート調査を行い,寺院の避難場所としての機能について二,三の考察を行った.
著者
櫻橋 淳 神武 直彦 石谷 伊左奈 三鍋 洋司 西山 浩平 石寺 敏 後藤 浩幸
出版者
情報処理学会
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.189-195, 2014-07-15

2011年,東日本大震災およびそれに伴って大規模に進められた計画停電を経て,東京電力管内では電力供給の低下により広く節電を行うことが求められた.電力総需要の約30%を占める家庭部門は,業務部門および産業部門と比較し,電力需要の抑制の呼びかけにどのくらいの電力利用者が対応し,節電を行うのかが未知数であるという課題があった.それに対し,筆者らは,スマートフォンなどの情報端末を通じて参加者の節電の取り組み情報を収集し,収集した情報を分析し,各電力管内での電力使用率などの情報とともにスマートフォンやWebサイトで可視化するシステムを構築した.そして,そのシステムを用いて,ソーシャル・キャピタルと節電行動の関係を実際の節電履歴データを取得して分析すること,およびソーシャル・キャピタルが強くない中でも節電を行う仕組みの実現に寄与することを目的とした実証実験「停電回避プロジェクト」を夏の電力需要が増加する2011年7月1日から100 日間実施した.結果として,①身近なコミュニティにおける節電行動の可視化,②身近なコミュニティでのランキング表示など自身のポジションの可視化,③他の利用者との接続が常時されているというリアルタイム性,の3つを実現し,ソーシャル・キャピタルの度合いが高くない電力利用者に対しても節電行動を促せることが分かった.