著者
水川 敬章
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2013

identifier:http://hdl.handle.net/2237/18593
著者
水川 敬章
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本年度の研究成果としては、以下の4点を挙げることができる。1、前年度より取り組んでいたセクシュアリティに関連する澁澤龍彦の作家イメージの形成の問題を、池田満寿夫等が制作した視覚芸術の作品との関係、そして、三島由紀夫『豊饒の海』などの澁澤が作中人物のモデルとなった小説との関係から検討した。エロティシズムや性をテーマとした澁澤の批評作品が、視覚芸術や小説において解釈され表象されていることが理解された。2、同様に継続的に調査を行った澁澤責任編集の雑誌『血と薔薇』の研究では、1960年代の男性共同体における性的欲望の表象の問題に着目し、サディズムとマゾヒズムに関する思想的問題から検討を加え、その位置付けについて論証した。3、澁澤が形成した文化圏(以下澁澤文化圏)の圏域で発刊された雑誌『an・an』の性表象について、1970~73年の同誌を対象として研究を行った。澁澤訳のシャルル・ペローの童話における少女表象、同誌に掲載されたヌード写真・漫画・言説について分析を行い、60年代の澁澤文化圏が醸成した男性共同体におけるマゾヒズムへの傾倒と、性に関するアナクロニズムが強く表現されていることを論証した。4、澁澤の他の作家や芸術家への影響について、ハンス・ベルメールの受容の問題から研究を進めた。澁澤のベルメール論・球体関節人形論等について分析を行い、その言説に女性嫌悪がある一方で、オルタナティブな性の肯定という生政治に対する批判的な意義があることを確認した。この結果を踏まえ、澁澤のベルメール受容に影響を受けたと考えられる同時代の土方巽の表現と後の世代の押井守の映像作品等について調査・検討を試み、それらに澁澤が展開した批評性の継承があること、特に後の世代の作品には女性嫌悪の超克があることを論証した。1の成果の一部については論文として発表し、2~4の成果の一部については、学会シンポジウムにおいて発表を行った。
著者
水川 敬章
巻号頁・発行日
2013-06-28 (Released:2013-09-30)