著者
杉田敢 山下徹 水本旭洋 玉井森彦 安本慶一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.7, pp.1-7, 2014-03-07

近年,食生活の乱れが生活習慣病の要因の一つとして問題になっている.食生活の乱れは,人間が食事を行うのに適した時間や量を正しく認識できない事に原因がある.そこで食生活の乱れを抑制する方法として,人間の感覚的状態の一つである空腹感の推定による適時・適量の食事推薦が,この問題の軽減に役立つ可能性がある.しかし一般的に,感覚的な状態の推定は生体を傷つけて行う侵襲的測定や,専門的または高価な機器が必要であるためユーザへの負担が大きい.そのため,侵襲的ではない方法により,定量的な空腹感の度合い 「空腹度」 を推定できることが望ましい.本稿では,空腹度と血糖値との間に密接な関係があることに着目し,(1) 食事および行動情報からの血糖値の推定,(2) 血糖値から空腹度の推定,の 2 段階構成の推定モデルを構築する手法を提案する.この空腹度推定モデルにおける推定血糖値と実際の血糖値,推定血糖値と空腹度との関連性を調査するため,血糖値および生活行動の記録,およびそれらを空腹度推定モデルに適用する実験を行った.その結果,実際の血糖値と推定血糖値の推移,推定血糖値と空腹感との間には強い正の相関が確認できた.In recent years, disturbance of diet has become a problem in many countries. Disturbance of diet is caused by the fact that people are not so conscious of appropriate time to eat meals as well as appropriate amounts of the meals. Accordingly, estimating the hunger feeling which is one of the human sensory states may help alleviating this problem. However, estimation of human sensory states often requires invasive measurement by injuring human body with a special and expensive device. In this paper, we propose a method for estimating hunger degree of a user at arbitrary time from the information of meals and exercises that the user has taken. We construct the hunger degree estimation model consisting of two steps: (1) the blood glucose level from meal and exercise information and (2) the hunger degree from the blood glucose level. To evaluate the proposed method, we measured the blood glucose level of a subject at some points of time as well as the user's meal and exercise information, and applied the measured data to our proposed estimation model. As a result, we observed a strong correlation between the measured and the estimated blood glucose level and between the subjective and the estimated hunger degree.
著者
水本旭洋 KhaledEl-Fakih 安本慶一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.25, pp.1-6, 2013-12-04

本論文では,スマートハウスにおいて省エネルギーに様々なデバイスをコンテキストアウェア制御することを目的に,任意の 2 つのコンテキスト間を最小コストで遷移させるデバイス操作シーケンスを導出するツール PathSim を提案する.PathSim は,スマートスペースにおけるコンテキストの各構成要素の値域を有限個の範囲に分割することで,コンテキストを有限個の要素からなる空間として扱う.そして,各コンテキストにおいて任意のデバイスの操作イベントを実行した時に遷移するコンテキストをシミュレーションにより求めていくことで,最小コストで目的のコンテキストに遷移するデバイスの操作シーケンスを A* アルゴリズムに基づいて導出する.スマートスペースにおける典型的な要求仕様を想定したケーススタディを通して評価実験を行った結果,PathSim によって導出された操作シーケンスが,人が直感的な方法でデバイスを操作する場合と比べ,デバイスの合計消費電力量を 72% 削減できることを確認した.