著者
丹羽 啓子 / 久世 淳子 / 武田 啓子 / 水谷 なおみ / 藤原 秀子
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.141, pp.95-102, 2019-09-30

著者らはこれまで介護職員が抱く「介護観」に着目し,「介護観」が介護実践に及ぼす影響について研究に取り組んできた.「介護観」に類似する概念として,ソーシャルワーク(社会福祉)の領域では「援助観」という語が用いられており,「援助観」は専門職としての判断の基盤となるものとされている(日和(2012);34). 本稿では,CiNii を用いて文献検索を行い,該当する文献6 件から福祉専門職の援助観にみられる共通項を整理した.その結果,福祉専門職の援助観に通底するものとして,「クライエントを尊重すること」,多職種・クライエントとの「連帯・協働・共有」,「内性的・反省的実践」,「生活者としての視点」が抽出された. 今回の文献検討の結果をふまえ,今後は介護職員を含めた福祉専門職の「援助観」(または「介護観」)の形成過程について検討していきたい.
著者
水谷 なおみ
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.125, pp.83-102, 2011-09-30

本研究は, 障害者自立支援法移行期における就労支援事業所がどのように機能を選択したのかについて比較軸を用いて探索的に類型化を試みた. 具体的には, 事業内容が異なる 2 つの就労継続支援 B 型事業所に注目し比較事例研究を行った. 研究課題を明らかにする手段としては, 質的研究を選択し, 調査方法は, 半構造化面接法および参与観察法を用いた.その結果, 事業所がどのような機能を併せ持つかによって, 利用者の獲得する能力に違いが見られた. また, 利用者の生活課題を解決する要因は, (1)ミッションの達成に向けた事業が整備されていること, (2)利用者と職員に共通の認識枠組み (組織文化) が存在すること, (3)それらを継続・発展させる条件が必要であることが示された.