著者
岡野 好伸 水谷 照一 高塚 昌宏 藤澤 伸悟
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.J328-J337, 2015 (Released:2015-11-25)
参考文献数
21

ハイビジョン放送(HD-TV)サービスでは,放送衛星(Ku-バンド)の他,地上波(UHF-バンド)も搬送波として利用されている.これらの搬送波は,周波数が大幅に異なるため,既存の自己共振型アンテナでは,一元化が極めて困難である.そこで本論文では,衛星放送受信用アンテナのパラボラ反射器に着目,これをUHF-バンド用アンテナ素子として利用することを試みた.具体的には,パラボラ反射器の収束性能に与える影響を低く抑え,かつUHF-バンドでアンテナ素子として利用可能となるように,スロットを開口した.さらに,衛星放送波と地上波の到来方向の不一致を許容できるように,パラボラ反射器背面に付加素子を付与し,地上波に対して提案アンテナが緩指向性を示すようにする技術の開発を行った.
著者
小畑 泰寛 水谷 照一 高橋 暢彦
出版者
The Institute of Image Information and Television Engineers
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.J1-J5, 2014

地上デジタル放送への完全移行後は,アナログ,デジタル並行放送期間中に暫定的に使用されていた710~770MHz までの周波数帯域から470~710MHz までの周波数帯域への周波数の移行(強制リパック)や,受信品質を確保できない一部のデジタル放送送信親局,および中継局の周波数の移行(改善リパック)があり,効率的な周波数移行と受信対策を行う必要があった.受信機が雑音の少ない信号を選択する性質を利用し,ISDB-T方式のワンセグ部分に送信側からノイズを付加すると確実に固定受信機が新しい波に移行することを確認し,「ワンセグノイズ付加法」と名付け実験,検証を行った.この方式では,固定受信の品質を損なうことなくリパックが可能で,全国の対象局所で多用され,対策期間,規模の縮小と受信者の不利益を最小限に押さえることに貢献したと言える.なお,この手法は,今後のデジタル置局計画や混信回避等による周波数変更にも引き続き有効な手法である.