著者
淵田 茂司 水野 友貴 益田 晴恵 土岐 知弘
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2013年度日本地球化学会第60回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.27, 2013 (Released:2013-08-31)

アミノ酸およびその高分子体は海洋における有機炭素の主要なリザーバーとして,生物地球化学サイクルの中で重要な役割を果たしている。本研究では,南部マリアナトラフ付近から採取した熱水中に含まれるアミノ酸量を測定し,熱水循環に伴うアミノ酸の挙動について考察した。200℃以上の高温の熱水からは,10 μM以上の加水分解性アミノ酸が検出されたが,50℃以下の低温の熱水および海水では1 μM以下で,アミノ酸の濃度は一貫して低かった。一般的に,アミノ酸等の有機分子は温度の上昇に伴不安定となるが,今回,高温の熱水ほどアミノ酸の濃度は高くなった。生物由来のアミノ酸を含む岩石や堆積物と高温の熱水が反応することで,アミノ酸の溶出が促進されているのであろう。