著者
土岐 知弘 中屋 眞司 新城 竜一 新垣 典之 原 由宇 満留 由来 安村 幸真 大嶋 将吾 益田 晴恵 井尻 暁
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2021

<p>竹富海底温泉のホウ素同位体比と,竹富島掘削試料のホウ素同位体比をそれぞれ測定したところ,150℃程度で平衡に達している可能性があることが明らかとなった。SF6濃度から滞留時間は20年程度。水の同位体比からも,地下水と深部流体が混合したリザーバーの存在が示唆された。</p>
著者
大嶋 将吾 土岐 知弘 満留 由来 原 由宇
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>竹富島の北東沖約1 kmの海底の数箇所から最高温度64 ℃の温泉水がガスを伴って湧出しており,そのガス成分はヘリウム同位体比やメタンの炭素同位体比からマグマ由来と考えられるガスが混入していることが示唆されている(大森ほか,1993)。2019年5月に湧出孔の一つにモニタリング装置を設置した。その結果を用いて,竹富海底温泉の変動要因を解明することを目的とする。2019年5月9日に水深20 mにある湧出孔へモニタリング装置を設置した。また,モニタリング装置の設置・回収に併せ温泉水試料を採取した。モニタリングデータから,潮位に応じて,泉温が変動しており,潮位が低い時に湧出量は増加し,潮位が高い時に湧出量が減少すると推定される。また,温泉の塩濃度は海水と比較し低い値を示しており,泉温とECおよび塩濃度は逆相関の傾向がみてとれることと調和的である。</p>
著者
横田 瑛里 山中 寿朗 岡村 慶 野口 拓郎 土岐 知弘 角皆 潤 大西 雄二 牧田 寛子
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>沖縄トラフ南部、多良間島の北約60kmの海底に位置する多良間海丘で、2017年8月、調査船「よこすか」によるYK17-17研究航海において有人潜水艇「しんかい6500」の潜航調査により、300℃を超える高温の熱水噴出孔が水深1,840m付近の海底についに発見され、YZサイトと名付けられた。この海丘では2009年に実施された潜航調査により山頂付近から周囲の海水温度に比べ約20℃高い熱水の湧出が確認され、その湧水と関連すると考えられる鉄酸化物を主体とした堆積物が認められていたが(Foxサイト)、高温熱水の噴出は確認されていなかった。この海丘は南部沖縄トラフの主たるrifting zoneである八重山海底地溝のやや南に位置し、西表島北北東海底火山にあたる石垣海丘群に東側延長にあたる島弧火山列の一つと推定される。2017年の潜航調査では、両サイトから、熱水、チムニーなどの採取が行われた。本発表では得られたチムニー試料の鉱物組成や元素組成と、熱水の地球化学的特徴について報告する。</p>
著者
岩田 大吾 土岐 知弘 大森 保 石橋 純一郎 高井 研
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.137, 2008

鳩間海丘は南部沖縄トラフの水深1,500 mに位置する直径約4 kmのカルデラ火山である。沖縄トラフの海底熱水系は背弧・島弧系であり,堆積物が豊富であるという特殊な環境から世界で初めて海底面からの二酸化炭素ハイドレートの噴出が観測されるなど,日本における熱水研究に様々な科学的題材を提供してきた。鳩間海丘における熱水活動は,1999年の有人潜水探査船「しんかい2000」による潜航調査において初めて発見された。2006年8月に行われたNHKの取材時には,世界で初めて熱水が青く見える現象が観測された。過去の調査では観測されたことのない青色熱水であることから,海底熱水活動の活発化した可能性等が指摘された。本研究では,発見当時青く観測された熱水噴出孔から2007年3月及び7月に熱水試料を採取し,化学分析すると共に分光学的に解析を行い,2000年の分析結果と比較して化学組成の変化と青く観測された原因を明らかにした。
著者
土岐 知弘
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.65, 2018

<p>沖縄周辺には,数多くの非火山性温泉があり,唯一の火山性温泉の可能性がある竹富海底温泉の学術的な研究は,非常に多くなされているが,非火山性温泉のデータはほとんどない。それらの研究は,本島南部の水溶性ガス田の分布調査によって推進されてきた経緯がある。新たに竹富島掘削試料が得られたことから,今後竹富海底温泉の噴出メカニズムが明らかにされることが期待される。</p>
著者
安元 純 野崎 真司 中屋 眞司 益田 晴恵 細野 高啓 土岐 知弘 新城 竜一
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.65, 2018

<p> 本報では、環境トレーサや数値シミュレーションを用いて、琉球石灰岩地域の地下水の流動特性、滞留時間及び水質形成機構、さらに、同地域の沿岸域でみられる海底湧水の湧出速度や栄養塩濃度に関する研究成果を報告すると共に、今後の熱帯・亜熱帯島しょ地域における統合的水資源管理の在り方について考察する。</p>
著者
大嶋 将吾 土岐 知弘 新垣 典之 藤田 和彦 知念 正昭
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.65, 2018

<p>竹富島の北東沖約1 kmの海底の数箇所から最高温度64℃の温泉水がガスを伴って湧出しており,そのガス成分はヘリウム同位体比やメタンの炭素同位体比からマグマ由来と考えられるガスが混入していることが示唆されている(大森ほか,1993)。これまで竹富島では,海底で温泉が確認されているのみで,陸上では確認されていなかったが,2017年に温泉井が掘削された。その際,採取したカッティングス試料から,竹富島の地質および熱的活動を明らかにすることを目的とし,顕微鏡観察,XRDおよびSEM-EDXを用いて分析した。 分析結果から,深度10 mから20 m,30 mから110 m,280 mから340 m,860 mから920 mでは石英が卓越しており,これらは温泉水の通り道であったと推定され,新たに4つの熱的活動が示唆された。</p>
著者
土岐 知弘
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2018年度日本地球化学会第65回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.170, 2018 (Released:2018-11-21)

沖縄周辺には,数多くの非火山性温泉があり,唯一の火山性温泉の可能性がある竹富海底温泉の学術的な研究は,非常に多くなされているが,非火山性温泉のデータはほとんどない。それらの研究は,本島南部の水溶性ガス田の分布調査によって推進されてきた経緯がある。新たに竹富島掘削試料が得られたことから,今後竹富海底温泉の噴出メカニズムが明らかにされることが期待される。
著者
岩田 大吾 土岐 知弘 大森 保 石橋 純一郎 高井 研
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2008年度日本地球化学会第55回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.137, 2008 (Released:2008-09-06)

鳩間海丘は南部沖縄トラフの水深1,500 mに位置する直径約4 kmのカルデラ火山である。沖縄トラフの海底熱水系は背弧・島弧系であり,堆積物が豊富であるという特殊な環境から世界で初めて海底面からの二酸化炭素ハイドレートの噴出が観測されるなど,日本における熱水研究に様々な科学的題材を提供してきた。鳩間海丘における熱水活動は,1999年の有人潜水探査船「しんかい2000」による潜航調査において初めて発見された。2006年8月に行われたNHKの取材時には,世界で初めて熱水が青く見える現象が観測された。過去の調査では観測されたことのない青色熱水であることから,海底熱水活動の活発化した可能性等が指摘された。本研究では,発見当時青く観測された熱水噴出孔から2007年3月及び7月に熱水試料を採取し,化学分析すると共に分光学的に解析を行い,2000年の分析結果と比較して化学組成の変化と青く観測された原因を明らかにした。
著者
土岐 知弘 大竹 翼 石橋 純一郎 松井 洋平 川口 慎介 加藤 大和 淵田 茂司 宮原 玲奈 堤 映日 中村 峻介 川喜田 竜平 宇座 大貴 上原 力 新城 竜一 野崎 達生 熊谷 英憲 前田 玲奈
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p>2016年11月16日~12月15日にかけて、SIP「海のジパング計画」の一環として沖縄トラフの伊是名海穴HAKUREIサイトにおいて、地球深部探査船「ちきゅう」を用いて海底熱水域を掘削した。掘削は、HAKUREIサイトの北部マウンドの頂上から、東側に約500 mの測線上において5本、またリファレンスサイトとしてマウンドから北西500 mほど離れた地点において1本を掘削した。採取したコアから、船上でヘッドスペースガス測定用および間隙水抽出用の試料を採取した。試料から抽出した間隙水について、船上でpH、アルカリ度、栄養塩および硫化水素濃度を、陸上で主成分および微量元素濃度、並びにホウ素同位体比を測定した。また、ガス測定用の試料については、船上で炭化水素および水素濃度を、陸上においてメタンの炭素同位体比を測定した。</p>
著者
大嶋 将吾 土岐 知弘 堤 映日 石橋 純一郎
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p>竹富島の北東沖約1 kmの海底の数箇所から30°C以上の温泉水がガスを伴って湧出しており(大森ほか,1993; Hirayama et al., 2007)、そのガス成分にはマグマ由来と考えられるHeガスが混入していることが知られている(Toki et al., 2017)。竹富島沖で湧出する海底温泉および竹富島で湧出する井戸水の試料を採取、分析した。竹富海底温泉のNa濃度、Mg濃度、Cl‒濃度およびSO42‒濃度は周辺海水より低く、Ca濃度、B濃度などの一部の成分濃度は海水よりわずかに高い値を示しており、周辺岩石と反応した可能性が考えられる。また、竹富海底温泉および周辺海水の水素および酸素の同位体比は同程度の値を示すことから、起源は周辺海水と考えられる。よって、竹富海底温泉は、周辺海水が海底下に浸透し、温められることで海底面から湧出していると考えられ、地下深部において水と岩石が反応して生成された熱水やマグマ水の供給はほとんどないと考えられる。</p>
著者
原 修一 角皆 潤 小松 大祐 中川 書子 芦 寿一郎 中村 光一 砂村 倫成 土岐 知弘
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2014年度日本地球化学会第61回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.44, 2014 (Released:2014-09-12)

高知県沖の足摺海丘(山頂水深543m)直上の海水中ではメタンの高濃度異常が観測されており、この海丘から海水中にメタンが放出されているものと考えられている。本研究では、この足摺海丘のメタン湧出フラックスや、大気へのメタン漏出の可能性の有無を検討することを目的として、2013年9月に足摺海丘およびその周辺において海水試料を採取し、海丘直上及び周辺海水中のメタン濃度分布を定量化した。更にメタンの炭素・水素安定同位体比も同時に分析し、その成因が微生物起源か、それとも熱分解起源であるのか、また海水中における微生物酸化分解の有無に関する考察を行った。分析の結果、足摺海丘直上の試料から高濃度のメタンが検出された(最高145 nmol/L)。また海水中のメタン濃度分布から、海丘から見て北東方向の水深450 m~660 mの範囲に、メタンプルームが広がっていることが明らかになった。
著者
淵田 茂司 水野 友貴 益田 晴恵 土岐 知弘
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2013年度日本地球化学会第60回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.27, 2013 (Released:2013-08-31)

アミノ酸およびその高分子体は海洋における有機炭素の主要なリザーバーとして,生物地球化学サイクルの中で重要な役割を果たしている。本研究では,南部マリアナトラフ付近から採取した熱水中に含まれるアミノ酸量を測定し,熱水循環に伴うアミノ酸の挙動について考察した。200℃以上の高温の熱水からは,10 μM以上の加水分解性アミノ酸が検出されたが,50℃以下の低温の熱水および海水では1 μM以下で,アミノ酸の濃度は一貫して低かった。一般的に,アミノ酸等の有機分子は温度の上昇に伴不安定となるが,今回,高温の熱水ほどアミノ酸の濃度は高くなった。生物由来のアミノ酸を含む岩石や堆積物と高温の熱水が反応することで,アミノ酸の溶出が促進されているのであろう。