著者
水野 英彰 阿部 展次
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.1115-1120, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
30

経腸栄養管理は経口摂取が不可能または不十分な場合や、消化管の安静が必要な場合に活用され、静脈栄養管理に比べて生理的であることから多くの疾患・病態で適応となり、アウトカム比率向上に重要な代替栄養法である。経腸栄養を必要とする患者は、腸内環境の乱れ(以下、dysbiosisと略)を有している可能性が高く、これに伴う合併症も考慮される。プロバイオティクス・プレバイオティクスは、dysbiosisの是正を目的として進化を続けており、併用したシンバイオティクスも踏まえて消化器疾患のみならず周術期、2型糖尿病、アレルギー疾患など多くの領域で臨床での有用性が報告されている。経腸栄養管理の領域でも以前からプレバイオティクスやプロバイオティクスの有用性が評価されているがメタゲノム解析などの新たなモニタリングを活用した、さらなるエビデンスの構築が今後期待される。
著者
水野 英彰 竹内 弘久 土屋 雅人 堀合 真市 鈴木 裕 阿部 展次
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.817-819, 2015 (Released:2015-06-20)
参考文献数
11

【目的】我々は胃瘻患者に対し、一定の高さより重力を利用し半固形短時間注入法と同等の時間で栄養剤を確実に投与する方法を自然落下法と提案し、有用性に関して検討を行った。【方法】2012年5月から2013年5月において、当院で胃瘻経腸栄養患者に対し、レントゲン透視検査による胃機能評価を施行。胃蠕動良好であり、自然落下法を施行した71例を対象とした。使用栄養剤は中粘度(約2000mPa・s)のとろみ調整栄養食品を使用した。検討項目は①投与時間の平均時間②排便回数③糞便スコア④合併症発生率の4項目とした。【結果】①投与時間は18.52±4.92分②排便回数は1.13±1.12回/日③糞便スコアは1.34±0.42点/回④胃食道逆流2例に認め、合併症発生率は2%で自然落下法継続率は98%であった。【結論】自然落下法は安全かつ簡便に投与可能で患者QOL改善に寄与する可能性があり、経腸栄養投与法として有用な手技となり得る可能性が考慮された。