著者
永井 保夫 長谷川 隆三
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.808-821, 1995-04-15

制約充足は人工知能や画像理解の分野をはじめ、グラフの問題やパズルなどの探索間題、いわゆる組み合わせ問題を対象として研究がおこなわれている。制約充足問題の代表的な解法として、探索法や整合化手法を用いる方法が知られている。われわれは、このような探索主体のアプローチとは対照的な位置付けにある代数的アプローチについて諭じる。本アプローチでは、制約論理型言語の探索機構を利用した制約充足問題に対する研究とは異なり、制約論理型言語におけるブール制約評価系を用いて代数的に制約充足をおこなう。本論文では、ブール代数により制約充足問題を定式化し、得られたブール方程式の求解を制約論理型言語CALにおけるブール制約の評価とみなすことにより、解であるブーリアン・グレブナ基底を求める方法について述べる。さらに、ブール制約評価系を用いた制約充足問題の効率化手法として、1)ブーノレ制約の簡単化方式、2)制約ネットワークの構造情報に基づいた制約の評価順序の決定方式、について提案する。そして、本効率化手法の有効性を確認するために、ブール制約を用いて記述された問題に対して適用実験をおこなう。その結果、制約充足問題の解法として探索法がよく知られているが、それとは異なるあらたなブール代数評価系を用いた代数的な方法ならびに効率化手法が有効であることを示す。
著者
川上 礼次 マッキン ケネスジェームス 永井 保夫
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第28回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.619-622, 2012 (Released:2013-07-25)

近年爆発的に増加するマルウェアが社会問題にもなっている。マルウェアが増加している理由の一つにパッカーがある。パッカーとはソフトウェアが実行可能な形式のまま圧縮や暗号化ができるソフトウェアである。増加しているマルウェアの大部分がパッカーを用い既知のマルウェアとして検知されないように加工が施されている。そのためパッカーをアンパックし復元することができれば爆発的に増加した亜種に対応することができると考えられている。 現在のウイルス対策ソフトでは特徴量を用いたシグネチャによるパターンマッチングが一般的な検知手法であり、それを補助する形でヒューリスティック検知が用いられている。研究ではヒューリスティック検知の一種のデータマイニング手法を用いたマルウェア検知の前段階処理としてマルウェアのアンパックを行い検知率の向上を図る手法を検討している。 本論文では実際にマルウェアを実行させることによって自らアンパックさせる手法を取り入れ、その結果アンパックしたマルウェアはパックさせたマルウェアより検知率が上昇することを明らかにする。