著者
佐藤 孝二 永井 弘光 甲斐 蔵
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.91-96, 1986-03-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

白色プリマスロック種,高IgG系統と低IgG系統のヒナ間における血清IgGレベルの違いは,両系統の遭遇する免疫原の有無,多寡に基づくのではないかと考え,Ig産生に対する無菌飼育の影響を調べた。1.無菌ヒナは,通常ヒナに比べて,IgGレベルが著しく低下し,通常の1/5~1/10程度の値を示した。2.ゲル濾過法によりIgMを含む第1峰は,無菌ヒナでも通常ヒナと同程度かあるいは増加したが,IgGを含む第2峰は著しく減少した。3.しかしながら,無菌条件下でも,高系統は低系統よりもつねに高いIgGレベルを示した。成長に伴うIgGレベルの変動にも差があり,高系統は,5週齢まで上昇傾向を示したが,低系統は低下していった。4.粒子抗原(SRBC, Ba)に対する抗体産生は無菌ヒナも通常ヒナと同程度の反応を示したが,溶解性抗原(BSA)に対する抗体産生は低下した。無菌条件下でも,高系統は低系統よりも高い抗体産生を示した。5.免疫により,あるいは無菌ヒナの細菌汚染により,IgGレベルは急激に上昇し,通常のレベルにまで達した。6.以上の結果から,両系統におけるIgGレベルの差は,免疫的経験の差異によるのではなく,本質的な遺伝的要因の差に基づくと思われる。高系統は免疫原に対する反応性,感受性が高いと考えられ,遺伝的要因の関与について考察を加えた。7.腸内細菌叢の存在は,IgM産生からIgG産生への切り換えの要因として働くと考えられた。