著者
千葉 桂子 永井 路子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.100, 2006

目的 近年,ローティーンを対象としたジュニア服の流行がアパレル市場で話題を呼んでいる。また,小学生を対象とした化粧品が販売されるようになり,おしゃれの領域は急激に低年齢化の方向へスライドしている状況にある。その要因の一つとして少子化による子どもひとりにかけるお金の増加が挙げられるが,さらにおしゃれを楽しんで来たとされる母親世代の影響もあると思われる。本研究では女子中学生とその母親のおしゃれに対する意識を,コミュニケーションや家族の状況も踏まえて捉えることを試みる。<BR> 方法 福島市内に在住する女子中学生(娘)とその母親を対象に,以下の要領で質問紙による意識調査を行った。調査期間:2005年6月から10月,調査方法:留置法,質問内容:回答者の属性,家族の状況(会話,外出,親子の仲,父親との関係等),おしゃれについて(金銭面,情報源,ファッションの趣味,お互いのおしゃれについて,「子どものおしゃれ」に対する意識等),回収率:娘43.8%,母親43.8%(配布数は各80部)娘と母親のおしゃれに対する意識の特性を把握するために,統計的手法を用いて検討した。<BR> 結果 娘と母親のそれぞれに対して,仲がよいと思うかという質問をしたところ,母親はとてもそう思うが58%で最も多かったが,娘はややそう思うが53%で最も多く,双方の認識に若干のすれ違いがみられた。子どものおしゃれに対して親子間で評価の程度に差が認められたものは,個性の発揮・自己表現,金銭感覚のまひ,物を大切にする,外見へのこだわり,身体への負担に関するものであった。おしゃれの意識について数量化3類で分析したところ,第1軸はブランド重視・実用性重視の分別軸と解釈することができた。