著者
江原 史朗 永井 啓之亮 水谷 孝一
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.541-549, 2003-09-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
23
被引用文献数
1

これまでの研究で報告されている唇の2次元振動は,実際に奏者が吹鳴した際の唇の軌跡とシミュレーションの軌跡ではその軌跡の傾きに違いが認められる。本論文ではこの軌跡の違いに着目し,人口吹鳴実験と数値計算によるシミュレーションの二つの手法を用いて解析を行った。唇が厚くなるに従って上唇先端部の振動は右上がりの軌跡から右下がりの軌跡に変化することを実験とシミュレーションの両方で示した。同様に唇が厚くなるに従って発振周波数が低くなることを示した。また,唇の厚みが増すに従って周波数の高い振動モードが励起されなくなり,同じ唇の固有振動数で異なる振動モードが励起され易くなることをシミュレーションで示した。