著者
鶴田 節夫 江口 俊宏 大島 俊哉 酒井 憲一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.103, pp.65-74, 1993-11-24
被引用文献数
4

外界からのメッセージに対応して、時間的に変化する目的 (時変目的と呼ぶ) を動的に生成し、これを分割したり、分割した目的を実行・調整しながら協調統合するための知識表現方法と、これを利用して問題を解くための推論機構を開発した。これを時変目的協調推論技術と呼ぶが、本技術は複雑かつ実時間で動的に変化する難問の解決のための知識情報処理機構を提供する。東京を始めとする大都市通勤圏では、ラッシュ時の混雑による列車ダイヤの乱れが問題となっているが、これを回復するための運転整理は、全線の列車の動きを考えた複雑な判断を実時間で動的に行なう必要があり、そのシステム化は20年以上の課題であった。時変目的協調推論技術を、この運転整理AIシステムに適用し、その開発において本技術が動的で複雑な問題の解決用ソフトウェアの柔軟性、生産性を高める点で有用であることを確認した。The inference technology called "Dynamical Goal Coordinating Inference" (DGCI) technology was developed. DGCI provides the knowledge representation style and mechanism for dynamical goal generation, control, and it's decomposition, execution and coordination. DGCI also provides an inference engine for solving problems by utilizing knowledge represented in the above style. DGCI was applied to an expert system for regulating commuters' trains in one of the biggest cities of Japan, which has not been in practical use for more than twenty years.