著者
松原 仁 半田 剣一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.83, pp.21-30, 1994-10-04
被引用文献数
2

チェスにおいては分岐因子などのゲームとしての性質が調べられているが、将棋については広く公表されたものが存在しなかった。ゲームをプレイするためのアルゴリズムを考える際に、あるいは将棋をチェスや囲碁など他のゲームと比較する際にこれらの情報は重要である。現在プロの棋譜を収集して分析している。そこで得られたいくつかの知見を報告する。将棋の平均分岐因子は、これまで一般に信じられてきた値よりはかなり小さく80前後(母集団の取り方によって90程度から70程度までばらつきがある)。しかしこの結果はコンピュータ将棋がこれまで信じられてきたよりやさしいということは必ずしも意味しない。最も勝負に影響する中盤から終盤にかけては平均百数十手の分岐因子が存在するので、チェスと同じ方法でコンピュータ将棋を強くすることはできないものと思われる。
著者
白土慧吉井伸一郎古川正志 吉井 伸一郎 古川 正志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.84, pp.15-20, 2006-07-28
参考文献数
3
被引用文献数
1

本論文では,ユーザが編纂した情報に基づく`情報推薦システムの開発を目的とする.個人によって編纂された幅広い情報を用いた推薦を行うために,ソーシャルブックマークサーピスを対象とする.適切な情報を抽出するため,Web上から各ユーザのデータを収集,ユーザ関連度を解析するシノステムを構築したぶ興味の類似した複数のユーザが相互に関連する情報を持つと仮定し,ユーザ間の情報共参照性をネットワークとして表現する.ここから各ユーザを中心とする部分グラフを抽出することで情報を推奨する.さらに本論文では,指定ユーザと類似した嗜好を持つユーザの関連性をグラフとして表示し推薦情報を提示するWebシステムを構築し,提案手法の有効性について検討する.In this paper, we develop the interested information recommendation system based on the user's compiled information. This system targets Social Bookmarks Service(SBM). For finding appropriate interested information, we collected each use's bookmark entry on web, and developed system which analyze user's association. We assume that users to whom interest is similar have associated information and subgraph that conters on each user from this network. And we develop web service to recommend new interested information.That service has list of the user who has similar preference to specified user, subgraph to the user,System to present recommended information to user.
著者
西村 啓 鳥海 不二夫 浅野 千尋 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.26, pp.75-80, 2007-03-15
被引用文献数
2

本論文は,独自の投資手法を明確にまた容易に具現化することが可能な株式の自動売買プログラムである「カブロボ」,カブロボの作成を可能にするカブロボ開発キット,優秀なカブロボ開発者と資金運用者を結び付けるカブロボ・コンテスト,そしてこれらの実施を可能にするカブロボ・プラットフォームに関する[1].売買の成績を競うカブロボ・コンテストの第3回大会では,実運用を目標に6000人以上の人が参加し,その中からコンテストの実績だけではなく,長期のバックテストでも成績のよい実運用に優れたカブロボを輩出することができた.本論文では,株式自動売買プラットフォーム「カブロボ・プラットフォーム」の構成を説明し,カブロボ・コンテストの実績と合わせ,本プラットフォームの有効性を示す.This paper describes a "Kaburobo" that enables users to specifically and easily create an automated stock trading program, a Kaburobo development kit, a Kaburobo contest that combines high-grade Kaburobo creators and financiers, and a Kaburobo platform that can realize them. More than 6000 people participated in the third Kaburobo contest in 2006 with a goal of real trading and some highly capable Kaburobos that have good track records of the contest and long term backsets. This paper represents the structure of the Kaburobo platform, shows actual achievement of the Kaburobo contest, and demonstrates the effectiveness of the platform.
著者
五十嵐 寧史 松井 啓之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.23, pp.67-74, 1995-03-06

ノミックゲームは、民主的立法のプロセスをゲーム化し、ルールの変更、新設を行うことを既存ルールにのっとって進めてゆく自己変形ゲームである。プレイヤーは自己に有利な状態を作りだすようにルールの変更を行うが、その承認は初期ルールでは投票により他のプレイヤーの合意を必要とする。その意味で協調的な行動が必要となるが、相互参照などによって定義が構成されていることが多い法文はプレイヤーによって解釈が異なり、どうすれば協調になるのかの判断も異なってくる。筆者らは実際にゲームを行うための実験環境としてネットワーク上にゲームサーバを構築しテストプレイを行った。ここでは、ノミックの意義とゲーム結果について示す。We constructed a conceptual game that called NOMIC-GAME on network environment and examined it. In this paper, we show the significance of this game and results of playing it. We gave two features to NOMIC-GAME. At the first, it modeled to developing process of the law in a demographic society that described as a game which included to change and create rules to be keeping to known regulations (or common knowledge). One the other, participants of this game (we called PLAYER) could offer the new law to dominate the others. It needed their agreement of initial condition to effect. That model had interaction of all players to evaluate their proposals. We concluded that to construct the actual decision making model to make the law and assessed it.
著者
CHO Heeryon 稲葉 利江子 石田 亨 高崎 俊之 森 由美子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.110, pp.1-8, 2006-10-25
被引用文献数
3

絵文字メッセージをやり取りして人間同士が意思疎通するには,コミュニケーションに参加している人間たちが同じ絵文字解釈(意味理解)を持たなければならない.絵文字コミュニケーションシステムの潜在利用者である日本と米国の子供たちが,同じ絵文字解釈を持つかを調べるために,システムで利用される120個の絵文字の意味を問うアンケート調査を行った.結果,ジェスチャー,色と性別,時間,空間,馴染みのもの,顔/表情の六つの領域に関係する19個の絵文字に対して,両国の子供が異なる解釈を持つことが分った.ここでは,多様な解釈を持つ絵文字を,絵文字コミュニケーションシステムでうまく利用するための方法として,絵文字の解釈語リストと頻度情報を利用し,たくさんの絵文字の中から検索語に関連する絵文字を検索する方法を提案する.提案手法は,絵文字の意味的なあいまい性を考慮した検索を実現し,文化的な解釈の差を扱う検索システムの土台となる.In order to establish mutual understanding during pictogram communication, humans exchanging pictogram messages must share common interpretation of pictograms that compose pictogram messages. Interpretations of pictograms may vary, however, according to individuals and sometimes according to culture. Through a comparative analysis of U.S.-Japan pictogram survey result on 120 community-created pictograms, we found that differences in interpretation exist between two countries on 19 pictograms with regard to gesture, color and gender, time, space, familiar things, and facial expressions. We address the retrieval of semantically ambiguous pictograms by proposing a pictogram retrieval method that utilizes interpretation words and their frequencies collected from the pictogram survey. Solving semantic ambiguity in retrieval is necessary prior to solving cultural ambiguity in retrieval.
著者
川中 翔 佐藤周行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.61, pp.25-32, 2008-06-25

我々は新しいものや概念が新たに創られた場合それを創造と呼ぶが,実際にはそれ以前に既に成立していた概念が下地にあって創られる.これらは解析すべき重要な依存関係であるが,既存の関係性解析の研究は時系列的に静的なものが多くを占めている.本研究では,ソーシャルブックマークにおける概念を記述するタグを解析することで,時系列的な概念の依存関係を抽出する手法を提案する.この手法は,共起率が高いタグ同士は依存関係を持ち,出現順が早い方が依存関係の親となるタグである,との仮定に基づいている.さらに本研究では実験によって手法の評価を行ない,直観的に有用な結果を抽出することに成功した.Creation can be defined as making something exist that has not existed before. However, in many cases, something new is derived from something old. These are essential to analyze, but previous work mainly concentrate on chronologically static relations. In this paper, we propose a method of extracting these chronological concept dependency by analyzing tags that describe concepts in Social Bookmark. This method, is based on the hypo high cooccurent tags have dependency and the first emergence time of tags determines order of dependency.
著者
大澤 博隆 今井 倫太
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.5, pp.17-22, 2008-01-22

本研究では,擬人化パーツを用いて人工物を直接エージェント化し,人工物の機能を直感的に提示するディスプレイロボットを提案する.エージェントを介した物体の情報提示手法として,従来では擬人的なエージェントを介してユーザへ情報を伝達する手法が主流であったが,ディスプレイロボットは物体を直接擬人化し,情報の提示者と説明対象を同一にするため,従来手法と比較して,より直感的なユーザへの情報提示が可能となる.本研究では擬人的なエージェントであるヒューマノイドからの機能説明と擬人化した物体からの機能説明を実験で比較した.その結果,ユーザは擬人的なエージェントからの機能説明よりも擬人化された物体からの機能説明をより多く記憶していることが分かった.We propose "Display robot" that anthropomorphize an artificial object directly. Display robot can give users function of object intuitively. Past studies represented information via anthropomorphized humanoid robot or CG-agent. Display robot achieves more intuitive information giving by making information presenter and target object as same. In this study, we compared function presentation from anthropomorphized object and humanoid-robot by experiment. An result says that participants of the experiment remembered more functions in the anthropomorphized object situation than humanoid-robot situation.
著者
山根 信二 村山 優子
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.71(2002-ICS-129), pp.11-13, 2002-07-25

かつて学会で倫理綱領が策定された際に,専門家の自制によってインターネット時代の無秩序をコントロールするという期待が寄せられた.しかしながらその後のインターネット利用の進展は専門家の枠組みを大きく越えており,倫理綱領が機能してきたとは言い難い.その一方で,近年発生する大規模なシステム障害では組織に対して「NO」と言える専門家が必要であり,そのためにIT技術者独自の職業倫理の徹底が唱えられてもいる.この両者はどちらも情報倫理として唱えられているが,実際には異なる要請のもとに生まれ,時には相反する機能を持っている.本発表では情報倫理の二つの機能を個別に論じた後,アメリカでの取り組みとの異同および今後の情報倫理の展開とそのための成立条件について論じる。
著者
三井 一平 内田 誠 白山晋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.2, pp.17-24, 2006-01-12
被引用文献数
4

多くのネットワークモデルが提唱されているが,ほとんどが人同士の繋がりのみをモデル化したものである.しかし,社会的ネットワークは,人同士の繋がりだけでなく,人と社会的コミュニティとの関係によっても規定される.例えば,SNSにおいては,コミュニティと呼ばれるグループが存在し,ネットワーク形成に重要な役割を果たしている.また,近年,いくつかのネットワークにおいて明らかにされつつある潜在的なコミュニティ構造にも影響しているものと考えられる.本研究では,SNSのコミュニティを陽なコミュニティ構造と考え,これを有するネットワークに対して,局所的・全体的な相互作用を考慮した,ネットワーク成長モデルを提案する.In the fleld of complex network research, many network models have been proposed, but most of them focused on modeling of link structure among each individual. On the contrary, social networks are composed not only of such individual links but also of social communities. For example, one of the main functions on SNS is the Community, which is like SIG (Special Interest Group) and also is explicit community. It is considered that the community in SNS will play an important role in formation of the network. Besides, this community may affect inherent community structure that has been found in some networks. In this paper, we focus on this community, and propose an evolving network model in an explicit community.
著者
矢野 周一 冨田 勝 星野 力 伊東 秀昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.23, pp.95-102, 1995-03-06

1994年10月1日に行なわれた「ノイズ入り囚人のジレンマトーナメント大学対抗戦」の結果を報告する。囚人のジレンマは非ゼロ和二人ゲームで、お互いに協調することによって両者とも利得を得ることができるが、一方が裏切ることによって相手に被害を与えつつも自分はより高い利得を得ることができる、というゲームである。歴史的にはアクセルロッド主催のトーナメントが有名であるが、本大会では「ノイズ入り」ルールで行なった。すなわち、プレイヤーが協調を意図しても、ε%の確率で裏切りを実行してしまい、同様に裏切りを意図していても、The following are the results of the Prisoner's Game tournament held on Octoober 1,1994. In this Prisoner's Dilemma Game, each player has a choice of 'Cooperate' or 'Defect', and if both players cooperate, they both benefit, but if one player defects the
著者
竹内 卓哉 渡部 広一 河岡 司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.20, pp.13-18, 2008-03-05

人間をサポートするような知的なロボットが活動するためには,人のパートナーとして人間の命令を理解するコミュニケーション能力や自律行動能力が必要と考えられる.人間が得る情報の内,視覚による情報は 7~8 割を占めると言われている.そのため,自律行動能力を実現するためには,視覚から得た画像を理解する能力が必要である.例えば物体を把持するときには,視覚によって得た情報から物体がどのような位置にあるか,大きさはどのくらいであるか,向きはどのような方向を向いているかなど様々な情報を理解する必要がある.そこで,本研究では,物体を把持するという行為に着目し,境界評価値、遺伝的アルゴリズムを用い,把持に必要な物体情報を導き出す手法を提案する.In daily life, a communication skill to understand person's instruction and the autonomous action ability are necessary to achieve an intelligent robot that supports person. It is said that information from the sight will account for from 70 to 80 percent in information that man obtains. Therefore, the ability to understand the image obtained from the sight is necessary to achieve the autonomous action ability. For example, to hold the object it is necessary to understand various information by the sight, the size of object, the direction of object etc. Then, in this research, it pays attention to the act of holding the object, and it proposes the method for extracting object's information necessary for the holding.
著者
大槻 洋輔 佐藤理史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.3, pp.165-172, 2000-01-12
被引用文献数
1 6

本論文では,地域情報ディレクトリを自動編集するシステムを提案する.本システムの中心技術は,情報源の自動収集と,ページの自動分類である.情報源の自動収集では,地域情報サイトに見られる典型的なURLパターンを利用して既存の地域情報リンク集を発見し,そこから情報源となるサイトのURLを収集する.この方法により,日本の全地域(3427自治体)の80%以上に対して,情報源を収集することができる.また,ページの自動分類では,収集した情報源サイト内のページを8つの種類のカテゴリに分類する.この分類は,それぞれのカテゴリに固有な表現が,ページのタイトルやアンカ文字列に現れるかどうかによって決定する.本ディレクトリは,地域別に情報を表示する地域モードと,カテゴリ別に情報を表示するカテゴリモードの両方を提供する.This paper proposes a system that edits a web directory of regional information automatically. The directory provides two views: regional view and category view. Two key technologies are automatic collection of regional web sites and automatic classification of web pages. The former finds existing link collections by using the URL prototypes of regional web sites, and extracts unknown regional web sites' URLs. This method can collect one or more web sites of 80 percent of all regions in Japan. The latter classifies the pages in the regional web sites into eight categories by using the category-specific expressions.
著者
池田 隆文 伊庭 斉志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.1, pp.191-198, 2002-01-09
参考文献数
11
被引用文献数
1

囚人のジレンマ(Prisoner's Dilemma PD)は経済学、数学、ゲーム理論、政治学、社会心理学、人工知能など、さまざまな分野で広く注目を集め、研究されてきた問題である。囚人のジレンマにはさまざまな拡張が存在する。その中にn人による繰り返し囚人のジレンマ(n-person Iterated Prisoner's Dilemma n-IPD)がある。n-IPDは一般性と現実世界の問題への応用性が高く、エネルギーや資源の保護の問題、インフレと賃上げ自粛の問題、環境汚染問題、人口増加問題、軍縮問題、などその適用範囲は広い。本研究ではn-IPDを行うエージェント集団を遺伝的アルゴリズムを用いて進化させ、その時のエージェント集団の振る舞いを観察する。そしてゲームのプレイヤーを増やしたことによって生じる効果を明らかにし、n-IPDの得失について考察する。Althought the normal 2 person Iterated Prisoner's Dlemma has widely been studied for explaination of the cooperative vehaviour evolution in social and biological systems, it began to be recognized this model has some limitation. Compared with the Prisoner's Dilemma played by 2 persons, the n-person Iterated Prisoner's Dilemma(n-IPD) has greater generality and applicability to real-life situations. In addition to the problems of energy conservation, ecology, and overpopulation, many other real-life situation. In addition to the problems of energy conservation, ecology, and overpopulation, many other real-life problems can be represented by the n-IPD paradigm. The n-IPD can model those problems which cannot be handled by the 2-IPD. This paper shows the population dynamics of the 3 and 4-IPD game, in which different strategies are evolved by Genetic Algorithm. We discuss the emergent properties of n-IPD by example.
著者
伊藤 毅志 杉本 新也 古郡廷治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.23, pp.33-40, 1995-03-06

本稿では、マルチエージェントによる協調問題解決の例として四人将棋を挙げる。四人将棋では、状況の変化に対応して各プレーヤーの役割が変わる完全情報確定ゼロ和ゲームである。四人将棋において協調的な思考がどの様に実現されているのかについて考察した。(四人将棋には、2対2でチームを組み闘うダブルスと、全員敵同士になるシングルスの2種類があるが、本報告では、特にダブルスにおける協調問題解決行動を扱った)まず、四人将棋をコンピュータ通信上で実現するシステムの構成を説明した。そして、そのシステムを用いて、ダブルスのパートナーと対話できる条件と、対話できない条件の2条件の心理実験を行った。対話ができる条件では、指し手の方針や、読みが、対話ができない条件では、パートナーの方針、読みを予想することによって補われ、協調的な思考の基となっていることが分かった。この心理実験の知見をもとに、四人将棋におけるプレーヤーの思考過程を説明する認知モデルの骨子を提案した。本稿は、本年1月にHI研究会で報告した「四人将棋における暗黙のコミュニケーションに関する研究」の原稿をもとに加筆、修正したものである。We deal with the cooperative problem solving process in playing "four-players-SHOGI", a two-against-two (or sometimes four-way) game in which two persons on side cooperate each other to win the game. We explain firstly the organization of a four-player-SHOGI to be implemented on computer network. We analyze secondly the results of an experiment that show how the two players on the same side cooperate each other explicitly when allowed and implicitly when not allowed. Based on the analysis, we offer lastly acognitive model that explains players' mental behavior for making a move in the for-players-SHOGI. This paper is revised one basis on "Implicit Communication in Playing 'Four-Playing-SHOGI'", published in HI-58-4 (1995).
著者
多摩 豊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.23, pp.41-50, 1995-03-06

エンタティメントのゲームソフトに必要なAI技術は、旧来のチェスプログラムなどに流用されていたノウハウとは多少異なる点がある。対人競技性という要素が強調されなくなったゲームソフトにおいては、対戦者ではなく、演技者、演出者としてのAIが必要になってくると思われる。The technology needed for the entertainment game software is somewhat differences which used for the chess program. Game software which lose the contest elements needs no more computer contender. It needs the AI cast and the AI director for entertain player.
著者
片岡 崇 川村 秀憲 車谷浩一 大内 東
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.29, pp.77-82, 2004-03-16

ユビキタス環境の発達に伴い,混雑状況の提示サービスが行われるようになると考えられる.しかし,必ずしも提示された混雑状況をもとに混雑を回避することが最適ではないということが明らかになっている.本稿では,混雑状況を提示する上でその効果に影響を与える要素であると考えられる,目的地の選択とそこへの到着までの間の時間的な遅れと混雑度合いに注目し,テーマパーク問題に対してマルチエージェントシミュレーションによって混雑状況の提示はどのような状況で効果的であるのかその効果を検証する.Recently it is considered that the congestion information services will provide with a development of ubiquitous environment. But it has bacn Cleared that congastion avoidance behnvior based on congestion information is not always optimum. In this paper, we investigate effect of congesiion information with multiagent simulation in theme park problem. Then we focus On degree of congestion and delay time between selecting destination and arriving. which is considered to affect the effect of congesion information.
著者
古川園 智樹 石元 龍太郎 小林 慶太 笠井 賢紀 赤松 正教 井庭 崇
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.85, pp.99-106, 2004-08-05
被引用文献数
1

本論文の目的は、成長するネットワーク上で社会・経済シミュレーションを行う ための基盤を構築することである。まず、ネットワーク形成のシミュレー ションにマルチエージェント・モデルが有効であることを示した上で、成長す るネットワークにおける代表的な3つのモデルを再現する。再現するモデルは、「ランダム選択成長モデル」、「優先的選択成長モデル」、「適応度を付与した優先的選 択成長モデル」である。さらに、社会・経済シミュレーションへの拡張が容易 であることを示すために、成長するネットワーク上での情報伝播のシミュ レーションを行う。The purpose of this paper is to construct the basis of the social and economic simulation on evolving network. To achieve the purpose, we first suggest that multi-agent model is useful in simulating network formation and second replicate three typical models of evolving network.The models are ``random network model'' , ``scale-free network model'' and ``fitness network model''. Finally, we simulate ``information propagation model'' on evolving network and demonstrate that it is easy to expand multi-agent model on evolving network to social and economic simulation.
著者
守田 了 東 慎吾
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.55, pp.17-24, 2000-06-02

ロボットの集団行動は、ロボットによる工場の自動化や、顕微鏡サイズのマイクロロボットによる医療活動などに応用できる.個別に行動する自律ロボットを設計するよりもさらに対象やタスク,環境との相互作用が複雑になるため,ロボットの集団行動の実現は困難である.本稿では、ロボットの集団行動を簡易に実現するためにオブジェクト間の引力と斥力のモデルを導入する。集団行動を獲得するために必要な制御パラメータを,目的の集団行動を獲得するための評価関数の最小化問題を解くことによって獲得する。実際に複数のグループが混じっている集団が,グループごとに分かれる行動と衝突回避を行いながらゴミを集める行動を獲得することにより,本モデルの有効性を示す.Cooperative behavior of robots can be applied for the factory automation and the medical field supporting the doctor using micro robots. In this paper, we introduce the attraction repulsion model to realize the cooperative behavior of robots. Optimal control parameters is gotten by solving the minimization problem of the evaluation function to acquire the cooperative behavior of robots. Actually, we shows the effectiveness of this model by simulating the behavior that a group is divided into some groups and robots collect scattered many papers in a garbage box.
著者
吉川 厚 斉藤康己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.103, pp.41-53, 1993-11-24
被引用文献数
1

人間がいかに状況を認識し,それを使って行動を決めるかのモデルをつくるために,囲碁を題材として認知実験を行い,いくつかの現象を見いだした。実験は被験者を非対峙状況において自手を決定するまでの一連の思考を内省しながら対局してもらうことにした。また,片方にはアイカメラを装着し視線データをとった.このような方法で様々な角度からのプロトコルを入手し,それを分析した結果,境界の認識,先読み時の注目点や深さなどにいくつかの知見を得たのでこれを報告する。加えて、今後解明すべき認知的な課題を列挙する。We present an experimental analysis of several phenomena when subjects are playing Go, in order to investigate how people recognize the situation of a game and decide what to do next. Subjects were asked to reflect by themselves while playing a game. One subject wore an eye camera, and we recorded the eye movement data. We analysed those protocols, such as verbal protocol, eye movement, the record of the game and so on. We found out some interesting phenomena and a lot of future research directions.