- 著者
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池上 祐太
山内 利宏
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.9, pp.2047-2060, 2014-09-15
標的型攻撃でカーネルルートキットを使用する事例が増加している.カーネルルートキットに感染した場合,標的型攻撃の検知までに要する時間が長引き,計算機への被害が拡大する可能性がある.攻撃による被害の抑制には,カーネルルートキットの早期検知が重要である.しかし,既存のルートキット検知手法は,カーネルルートキットを早期に検知できるものが少なく,カーネルの拡張性を制限するという問題がある.そこで,カーネルルートキットに感染前と感染後のカーネルスタックの比較により,カーネルルートキットを検知する手法を提案する.提案手法では,カーネルルートキットに改ざんされる可能性の高いシステムコールの発行後に呼び出される正規のシステムコール処理ルーチンの呼び出し前に,処理をフックし,その時点のカーネルスタックの情報をホワイトリストと比較する.また,正規のカーネルモジュールの情報を事前にホワイトリストに登録しておくことで,提案手法による誤検知を防止する.本論文では,提案手法の設計,Linuxを対象とした実現方式,および評価結果を報告する.