著者
村川 由加理 池松 裕子
出版者
日本クリティカルケア看護学会
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.43-50, 2011 (Released:2015-01-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究は,ラザルスの心理学的ストレスモデルを基に,術前不安の喚起過程と看護援助の内容について整理した.医学中央雑誌から62の論文を選出し,術前不安と看護援助を「不安の素因」「影響要因」「看護援助」と位置づけ,研究結果や記述された表現をカテゴリー化した.不安の素因は『生命への脅威』『未知への脅威』『麻酔の作用・副作用への懸念』『術後の身体的苦痛への心配』など13に,影響要因は『個人的背景』『疾患/手術内容』『情報と知識』,看護援助は『認知の促進』『情緒的支援』『連携と調整』『リラクセーション』に分類された.手術が「脅威」であれば,不安の素因で示した反応がみられ不安が喚起される.この過程には影響要因が関連する.看護援助は不安喚起の過程のどの部分に働きかけるかは不明ではあるが一部で不安低減の効果が検証されていた.本研究により術前不安に関する研究疑問が焦点化され,系統的な研究の促進が期待される.
著者
池松 裕子
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.151-156, 2009-04-01 (Released:2009-10-15)
参考文献数
7

認定看護師・専門看護師制度は1990年代後半に制定され,その教育課程を有する教育機関数および登録者数は急激に増加してきている。集中治療領域では集中ケア認定看護師と急性・重症患者看護専門看護師があり,2008年8月現在それぞれ421名と16名が登録されている。どちらも5年の臨床看護実績を積んだ後,認定看護師は6ヶ月の公的教育,専門看護師は大学院修士課程(または博士前期課程)を修了し,日本看護協会が実施する認定試験に合格しなくてはならない。認定看護師は,スタッフとともに業務に携わりながら,現場での問題を見出して改善し,看護の質の底上げを担う。専門看護師は,新しい研究知見や情報を入手・吟味したうえで計画的に現場に導入するとともに,その成果の誌上発表や教育講演を行い,広く我が国の看護のレベルアップを目指す。両者は対等な立場で協力し,集中治療領域における看護の質の向上に貢献することが期待される。
著者
池松 裕子
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

University Hospitals of ClevelandのInstitutional Review Boardから8月11日に正式なデータ収集の許可が降りた。データ収集者をCase Western Reserve University, Frances Payne Bolton School of Nursingで募集したところ、即日応募者があり、面接の上、決定した。データ収集場所となる同病院Surgical Intensive Care UnitとCardiac Intensive Care Unitにおいて、看護スタッフの協力を得るため、研究の概要とデータ収集について説明した。同病院でのデータ収集を行うにあたり、経費を名古屋大学から送金する必要があり、病院CEOと名古屋大学医学部長との間で覚書が交わされる必要性が生じた。覚書は10月31日に両者のサインがされ、11月1日からデータ収集開始となった。データ収集者は週3回、両ICUを訪ねて潜在的対象患者がいないかどうかを調べ、対象者がいる場合は、主治医と主任看護師にインタビューできるくたいに状態が安定しているかを尋ね、許可が降りたら患者にインタビューを依頼する。2007年2月11日の時点で9人の患者に打診し、6人の患者にインタビューすることができている。6人の内訳は男性4人女性2人で48〜85歳。心タンポナーデの原因は、癌が2人、感染2人、出血傾向1人、その他1人である。心嚢穿刺前の血圧は116〜175/49〜91mmHgと低下はしていなかったが心拍数は84〜118/minとやや頻脈傾向であった。血圧・心拍数は穿刺後も著明な変化は見られていない。6人中、ふたりはまったく自覚症状がなかったが、それ以外の患者は息苦しさや胸痛とともに、死にそうな感じや、恐怖・不安を感じたを答えた。現在、引き続きインタビューを行うとともに、既存の6人のデータを整理中である。