著者
田村 恵理 谷口 義典 西山 充 矢田部 智昭 井上 紘輔 荒川 悠 森 正和 池添 隆之 寺田 典生 藤本 新平
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.6, pp.1041-1050, 2016-06-10 (Released:2017-06-10)
参考文献数
10

65歳,女性.高血圧,肥満症で加療中であったが,全身倦怠感,尿閉のため当院受診した.両側水腎症を認め,腎後性腎不全に対し経皮的腎瘻造設術を施行したが,腎障害改善なく,原因不明の遷延性乳酸アシドーシス,無症候性低血糖も認められた.持続的血液濾過透析を施行下に腹部造影CT検査を施行し,腹壁皮下結節および腹直筋の不整肥厚などを確認した.皮下結節およびリンパ節の生検にて形質芽球性リンパ腫と診断した.化学療法を開始し,乳酸アシドーシスや低血糖は速やかに改善した.悪性腫瘍,特に血液系腫瘍ではWarburg効果がみられることがあり,原因不明の乳酸アシドーシスでは,原因として悪性腫瘍の可能性を念頭に精査する必要がある.
著者
池添 隆之 西岡 千恵 楊 晶
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

血管内皮細胞上に発現し、凝固を負に制御しているトロンボモジュリンが、シグナル伝達経路ERKを介して抗アポトーシス蛋白Mcl-1の発現を誘導して、サイトカインや免疫抑制剤による細胞傷害から血管内皮細胞を保護することを明らかにした。また、その活性部位は上皮細胞増殖因子様領域に局在し、抗凝固作用とは無関係であることを明らかにした。
著者
池添 隆之
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

一つの細胞が分裂し、全く同じ二つの細胞が創られることで細胞は増殖を続ける。この分裂の過程は分裂期キナーゼという酵素群によって精密に制御されている。これらキナーゼの機能破綻により細胞が無秩序に増殖しがん化が引き起こされていることが予想される。この度我々は分裂期キナーゼの一種であるポロ様キナーゼに注目しその白血病化への関与について検討を行った。ポロ様キナーゼは正常の造血細胞と比べて、急性白血病細胞で異常にその発現が亢進していた。そしてこのキナーゼを阻害剤を用いて不活化すると白血病細胞の増殖は抑制された。これらのことから、ポロ様キナーゼは白血病細胞の増殖に関与しており、格好の治療標的分子となり得る可能性が示唆された。