著者
鈴木 重人 池田 典子
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.41-45, 1992

わが国には「以上」「以下」という語いがあるが、一般には気軽にまたは不用意に使用されることが多い。本来「以」には「と」とか「ともに」という意味がある。例えば、「5以上」は「more than 5」ではなく「5以下」は「less than 5」ではない。児童は2年生算数の授業で不等号記号を、4年生国語で漢字の「以」を、6年生算数で「以上」・「未満」の併用を学習する。しかし、学校で正しく習得した知識が、彼らの成長の過程でテレビ、ラジオ、雑誌などの影響により、あいまいになりがちとなる。学校教育では「以上」・「以下」の併用は禁物であることを力説する必要がある。児童・生徒は「以上」・「未満」の併用の学習と同時に、実用法律用語にみられる「超」・「以下」の併用をも学習するよう指導されることが望ましい。