- 著者
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池田 恭治
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.88, no.7, pp.1212-1217, 1999-07-10 (Released:2008-06-12)
- 参考文献数
- 6
- 被引用文献数
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1
高カルシウム血症は,悪性腫瘍患者の末期に見られる腫瘍随伴症候群の一つで,ほとんどの場合,腫瘍が過剰に産生する副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)が,骨吸収(骨からのカルシウム動員)と腎におけるカルシウム再吸収を促進することにより起こる.癌患者に見られる高カルシウム血症は,慢性に経過する原発性副甲状腺機能亢進症と異なり急速進行で,腎不全や意識障害などをもたらし癌患者のQOL (quality of life)を損ねる危険が大きいので,血漿PTHrP濃度を測定して速やかに診断し,生理食塩水によるカルシウム排泄促進とビスフォスフォネートによる骨吸収の抑制を直ちに開始する必要がある.