著者
池田 恭治 竹下 淳
出版者
独立行政法人国立長寿医療研究センター
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

骨の破壊は、引き続く骨の再生に必須の生理過程であり、造血細胞から分化して新たに形成される多核の破骨細胞が行う。一方で、病的な数や質の破骨細胞は、閉経後骨粗鬆症や関節リウマチの原因となる。本研究では、造血細胞から、骨を破壊し骨代謝サイクル開始のシグナルを送るという特殊な機能を担う破骨細胞へと分化する過程で起こるさまざまな代謝適応や細胞周期動態とその転写ネットワークを明らかにした。また、破骨細胞に分化する過程で分泌される因子を遺伝子発現解析と生化学的手法で同定し、骨の破壊から次の再生過程への転換のメカニズムの一端を明らかにした。
著者
池田 恭治
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.88, no.7, pp.1212-1217, 1999-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
1

高カルシウム血症は,悪性腫瘍患者の末期に見られる腫瘍随伴症候群の一つで,ほとんどの場合,腫瘍が過剰に産生する副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)が,骨吸収(骨からのカルシウム動員)と腎におけるカルシウム再吸収を促進することにより起こる.癌患者に見られる高カルシウム血症は,慢性に経過する原発性副甲状腺機能亢進症と異なり急速進行で,腎不全や意識障害などをもたらし癌患者のQOL (quality of life)を損ねる危険が大きいので,血漿PTHrP濃度を測定して速やかに診断し,生理食塩水によるカルシウム排泄促進とビスフォスフォネートによる骨吸収の抑制を直ちに開始する必要がある.