著者
池田 昌絵 竹本 俊二 梶川 隆
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.1136-1140, 2009 (Released:2013-07-24)
参考文献数
7

三心房心は, 先天性心疾患中, 比較的稀な心奇形とされている. 成人で無症状の古典的三心房心を指摘された症例を経験したので報告する. 症例は67歳, 男性. 13年前より拡張型心筋症として当院にて加療を受けている. 年1~2回の心エコーにて経過観察を行っていたところ, 2008年5月(今回の画像診断より1カ月前) の心エコー時, 左房内に異常隔壁を指摘され, 経食道心エコー, 経胸壁3D心エコー, CTにて精査を行った. 心房中隔欠損症(ASD)・肺静脈還流異常は指摘されず, 中心に大きな交通孔を持つ古典的三心房心と診断された. 3D心エコーでは, 異常隔壁には中心に大きな交通孔があるほかに小さな交通孔があることが指摘され, 異常隔壁の形態と, 左房内の血流を立体的に観察することができた.
著者
和田 匡史 渡邊 敦之 井原 弘貴 池田 昌絵 戸田 洋伸 山中 俊明 橋本 克史 寺坂 律子 中濱 一 山田 信行
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.S2_173-S2_179, 2010

症例は51歳, 女性. うつ病に対して抗精神薬を5剤内服し治療中であった. 2009年6月21日, 2階のベランダから転落後の状況を発見されて前医に救急搬送となった. 画像検索で骨盤・眼窩底・上顎骨骨折が判明し骨盤骨折に対して緊急手術の予定となったものの, 術前心電図で著明なST変化を認め当院紹介搬送された. 当院来院時はショック状態で, 心電図・心エコー所見から急性心筋梗塞の疑いで緊急冠動脈造影を施行した. 造影の結果, 左冠動脈主幹部で完全閉塞しており, 外傷後ではあったが救命目的に引き続きIABP挿入下にPCIを行った. 左冠動脈主幹部入口部から大量血栓を認め, 冠血流改善に難渋した. 主幹部入口部に残存する解離様陰影に対してBMSを留置し, PCI終了とした.<BR>文献上では胸部外傷後に急性心筋梗塞を発症することが報告されているが, 本症例のように多発外傷後に左冠動脈主幹部閉塞をきたした症例は非常に稀である. 外傷による冠損傷・血栓形成の機序についての考察を交えて報告する.