著者
池田 浩也 サレ ファイズ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.29, pp.17-21, 2010-05-06
被引用文献数
2

シリコン基板上に作製可能な単電子冷却デバイスを提案し,その単電子トンネル動作について理論的評価を行った.その構造は,単電子箱と単電子ポンプを組み合わせた形をしており,半導体ドット内の電子を交流電圧により出し入れして,ドット内電子のエネルギーを低減する.この単電子ポンプ冷却デバイスの等価回路についてクーロンブロッケード条件を計算したところ,ドット内電子数をパラメータとしたハチの巣状の安定状態図(クーロンダイヤモンド)を形成することを見出した.境界線の三重点を囲むように交流電圧をかけたときのデバイス動作について,クーロンブロッケード現象のオーソドックス理論に基づくモンテカルロシミュレーションにより調べたところ,単電子ポンプ動作が実現できることがわかった.それと同時に,半導体ドット内に電子を1個ずつ転送し,複数個の電子を蓄積できることも明らかとなった.
著者
池田 浩也 早川 泰弘 下村 勝
出版者
静岡大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は,量子効果デバイスを高温動作できるようにするために,熱電変換現象を利用した冷却基板(ナノフリーザ基板)の開発を目指して行われた.冷却機能の高効率化が期待できるシリコン・ゲルマニウム混合材料について,熱電変換の重要な物性値であるゼーベック係数(温度差を1℃与えたときに発生する熱起電力)を調べた.ゼーベック係数は,電子が寄与する成分と格子振動が寄与する成分があるが,格子振動による成分を決定する物性的要因を明らかにした.また,実際のデバイスを作製するためのプロセス技術を提案し,その基礎データを収集した.