著者
池谷 知子
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.11-25, 2012-03-21

本研究では,終助詞「っけ」と「っと」の意味機能を論じるのと同時に,双方の共通点を論じる.この2つは,聞き手が存在する対話として使うことも可能であるが,聞き手が存在しない独話としても使うこともできる.この現象を説明する概念として,聞き手として,invisible listener という目に見えない聞き手を想定した.聞き手を不可視化することによって,聞き手は,話者の発話に何らかのアクションを起こす義務から解放され,そのことによって,おたがいのフェイスを維持することができるのである.さらに,話者の私的領域内に属する情報の中でも「ッケ」は自己(=話者)の体験にある情報であることを示し,「ット」は自己(=話者)の個人的情報であることを示すことを論じた.
著者
池谷 知子 久津木 文
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究会
雑誌
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.21-36, 2013-03-05

日本語を学ぶ外国人が苦労するものとして「日本語の中のカタカナ」が挙げられる。スーパーで同じ魚が「サーモン」「鮭」という二つの名前で売られているのに対して感じる日本語学習者の素朴な疑問、つまり、いつ「サーモン」と呼び、いつ「鮭」を使うのか、ということに対して明確に答えられる日本人は少ない。そこで本研究は以下の2点を明らかにすることを目的とし、英語母語話者の日本語学習者18 人に対して調査を行った。検討課題は以下の2点である。 検討するべき点I・・・英語の原語とカタカナ語の意味のマッピング 検討するべき点II・・・カタカナ語と非カタカナ語(和語・漢語)の意味のマッピング結果、日本語学習者はカタカナ語は日本語の語彙の一種であり、カタカナ語と英語は異なるものであることを認識していることがわかった。しかし、語彙によって習得が簡単なものと、難しいものの差があることが明らかになった。
著者
池谷 知子
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
神戸松蔭女子学院大学研究紀要. 文学部篇 = Journal of the Faculty of Letters, Kobe Shoin Women's University : JOL (ISSN:21863830)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.55-70, 2016-03-05

日本語を母語としない日本語学習者(留学生)にとって、日本人との交流授業が有効であることは知られているが、留学生との交流が日本人学生にどのような影響を与えるのかということはあまり明らかになっていない。なぜなら留学生がキャンパスにいることが、本当に「国際化」を促しているのかはなかなか検証しにくい問題であるからである。キャンパス内にいる留学生と授業を通して交流することが、自然に多文化共生を学ぶ機会となり、日本人学生の意識の内側から「国際化」を促していることを確認していく。また、それは学年が上がるごとに強くなっており、キャンパスの国際化に対して、海外へ学生を送り出す以上に、日常生活で様々な文化的な背景をもった留学生と交流し意見を交わすことが、大きな役割を果たしていることをデータからみていく。
著者
池谷 知子
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
トークス = Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : 神戸松蔭女子学院大学研究紀要言語科学研究所篇 (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
no.20, pp.35-59, 2017-03-05

統語的複合動詞「~出す」と「~始める」は、両方とも開始のアスペクトを表すものとして知られている。この2つは言い換えがきくものされてきた。先行研究ではこの2つの違いとして、「~出す」の方は「突然性」があるとされてきた。これまで、複合動詞の用法については、作例で検証されることが多かったが、本研究では「現代日本語書き言葉均衡コーパス(通常版)中納言BCCWJ-NT」を使うことによって、「~出す」と「~始める」の違いを、数量と実例を使った観点から明らかにしていく。そして、「~出す」と「~始める」の違いには、動詞の限界性と動作主のコントロール性という2つの要因が関与していることを論じる。そのことによって、「~出す」と「~始める」の表す開始のスペクトの違いを明らかにする。
著者
池谷 知子/久津木 文
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.27-45, 2014-03-05

日本語を学ぶ外国人が苦労するものとして「日本語の中のカタカナ」が挙げられる。本研究では英語母語話者の日本語学習者55人に次の6組のカタカナ語と非カタカナ語の使い分けについての研究調査を行った。カテゴリー1 Bottle ボトルと瓶カテゴリー2 Brush ブラシと筆カテゴリー3 Glove グローブと手袋カテゴリー4 Potato ポテトと芋カテゴリー5 Tea ティーとお茶カテゴリー6 Ticket チケットと券その結果として以下のことがわかった。1. カタカナ語に関して、非カタカナ語に対応する語がなく「ペットボトル」「歯ブラシ」のように指示対象物の名称の中にそのカタカナ語が入っていれば、カタカナ語を選びやすい。2. 日本的なものは非カタカナ語、そうではないものはカタカナ語を選ぶ傾向がある。3. カタカナ語と非カタカナ語のどちらを使えばよいのか不明な場合、英語の母語の知識を生かして、それと対応するカタカナ語が選択されやすい。4. 日本語学習者は材料や形態など、独自の使い分けの基準を適用して判断することがある。5. 一般的に、カタカナ語と非カタカナ語の使い分けは辞書に書いていないことが多いことから、その情報にどのくらいアクセスできるかが習得の鍵になっている。KATAKANA words bring difficulties for foreign learners of Japanese, because it is hard to distinguish them from original English (or other foreign) words, and they may also have synonyms in Non-KATAKANA words.This study looks into 55 Japanese learners of native English speaker about choosing Japanese words in the following 6 categories that have a pair of words in KATANAKA and in Non-KATAKANA respectively.Category 1 Bottle: "BOTORU"/"BIN"Category 2 Brush: "BURASHI"/"FUDE"Category 3 Glove: "GUROBE"/"TEBUKURO"Category 4 Potato: "POTETO"/"IMO"Category 5 Tea: "THI"/"OCHA"Category 6 Ticket: "THIKETTO"/"KEN"In conclusion, Japanese learners of native English speaker have tendencies (1) to choose KATAKANA word, when KATAKANA is embedded with the name of object,(2) to choose Non-KATAKANA word, when it refers to Japanese traditional objects, (3) to choose KATAKANA word, if they are unsure of selecting, (4) to develop their own way to discern KATAKANA word and Non-KATAKANA word, (5) to learn the distinction between KATAKANA word and Non-KATAKANA word by having ample opportunities for Japanese language input.
著者
池谷 知子 久津木 文
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究会
雑誌
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.27-45, 2014-03-05

日本語を学ぶ外国人が苦労するものとして「日本語の中のカタカナ」が挙げられる。本研究では英語母語話者の日本語学習者55人に次の6組のカタカナ語と非カタカナ語の使い分けについての研究調査を行った。カテゴリー1 Bottle ボトルと瓶カテゴリー2 Brush ブラシと筆カテゴリー3 Glove グローブと手袋カテゴリー4 Potato ポテトと芋カテゴリー5 Tea ティーとお茶カテゴリー6 Ticket チケットと券その結果として以下のことがわかった。1. カタカナ語に関して、非カタカナ語に対応する語がなく「ペットボトル」「歯ブラシ」のように指示対象物の名称の中にそのカタカナ語が入っていれば、カタカナ語を選びやすい。2. 日本的なものは非カタカナ語、そうではないものはカタカナ語を選ぶ傾向がある。3. カタカナ語と非カタカナ語のどちらを使えばよいのか不明な場合、英語の母語の知識を生かして、それと対応するカタカナ語が選択されやすい。4. 日本語学習者は材料や形態など、独自の使い分けの基準を適用して判断することがある。5. 一般的に、カタカナ語と非カタカナ語の使い分けは辞書に書いていないことが多いことから、その情報にどのくらいアクセスできるかが習得の鍵になっている。