- 著者
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池谷 知子
- 出版者
- 神戸松蔭女子学院大学
- 雑誌
- Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス (ISSN:13434535)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, pp.11-25, 2012-03-21
本研究では,終助詞「っけ」と「っと」の意味機能を論じるのと同時に,双方の共通点を論じる.この2つは,聞き手が存在する対話として使うことも可能であるが,聞き手が存在しない独話としても使うこともできる.この現象を説明する概念として,聞き手として,invisible listener という目に見えない聞き手を想定した.聞き手を不可視化することによって,聞き手は,話者の発話に何らかのアクションを起こす義務から解放され,そのことによって,おたがいのフェイスを維持することができるのである.さらに,話者の私的領域内に属する情報の中でも「ッケ」は自己(=話者)の体験にある情報であることを示し,「ット」は自己(=話者)の個人的情報であることを示すことを論じた.