著者
池邨 清美 中野 茂
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,生後12ヶ月未満に保育所に入所した子どもを対象として,保育士との愛着と母親への愛着を比較し,1)0歳児保育においても,子どもは母親と同じように愛着を形成するのか,2)保育士に対して形成される愛着は,母親に対して形成される愛着と連続性があるのか,独立して形成されるのか,の二点を明らかにすることを目的とした。対象は,生後1年未満から保育所で保育されたもの,家庭で保育されたもの,それぞれ35名の子どもである。研究は,愛着Q分類法による行動観察と愛着行動尺度と気質尺度を用いた質問紙によって,子どもが生後12ヶ月にから18ヶ月の間に行われた。その結果,質問紙調査では同じ子どもについて保育士に対する愛着と母親に対する愛着が比較されたが,生後8ヶ月以降に保育所に入所した乳児には両者に強い関連が見られたが,必ずしも気質がその関係を直接的につないでいるわけではなかった。また,そうした関連は生後8ヶ月未満に保育所に入所した場合には見られず,愛着は母親と保育士に個別に形成されると考えられた。保育士と母親に対する愛着を同じ子どもで観察した事例は少ないが,母親と不安定な愛着を形成した場合でも保育士とでは安定した愛着を形成する場合があった。保育所保育群と家庭保育群で比較すると,保育士に対する愛着は母親に対する愛着と遜色がなく,0歳児保育では保育士は重要な愛着対象であり安定した愛着を形成していたが,保育所児は泣きを保育士から世話を得るための手段として用いる傾向にあった。こうした知見から,愛着形成期での保育士の愛着形成における役割が示された。わが国で女性の社会進出が進み,0歳児保育がますます盛んに行われる状況において,保育士の役割を示した本研究の意義は大きいと考えられる。また,国際的にも0歳児保育での愛着研究はそれほど行われておらず,貴重な成果と言えるだろう。
著者
池邨 清美 中野 茂 堀内 ゆかり KAZUKO Behrens
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、ビデオ育児支援法(Video-feedback Intervention to promote Positive Parentingand Sensitive Discipline: VIPP-SD)のわが国での適応可能性を実証することを目的として行われ、親子で遊んだり、日常活動を行っている場面の母親に対するビデオフィードバックが、親子関係改善の介入効果をもつための条件を明らかにした。