著者
河上 眞理
出版者
京都造形芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

「イタリア美術」という概念はイタリア半島初の統一国家イタリア王国の成立に伴い形成されたと仮定し、絵画を中心に、遺産としての過去の美術の扱いと、同時代の動向との関係を通して考察し、以下が明らかになった。第一に18世紀に遡るイタリア美術史編纂事業を通して、半島内で展開した美術の独自性と世界への発進力が改めて認識された、第二に美術品保護の充実が訴求され、公私の美術館制度が整備された、第三に「イタリア美術」というブランド力の国際的な場面における効果が認識され、謂わば、海外における「イタリア美術」像を再受容し、イタリア王国は美術外交という施策を展開した。