著者
河井 理穂子
出版者
情報ネットワーク法学会
雑誌
情報ネットワーク・ローレビュー (ISSN:24350303)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.90-103, 2023-11-17 (Released:2023-11-17)

米国の子どものオンラインサービス利用に関するプライバシー保護法制度は、古くから学校教育における子どもの教育記録の保護を目的としたFERPA、消費者保護の立場から主に学校教育ではない場面での子どものオンラインサービス利用におけるプライバシー保護を目的としたCOPPAという、成立の経緯が異なる2つの連邦法を中心として成り立っている。そして2つの連邦法を、各州が州法によってそれぞれ補完している。本稿では、学校教育以外と学校教育の2つの場面において、米国連邦法、州法がどのような子どものデータに対してどのように保護を行っているのか、その現状についてカリフォルニア州を例に検討をするものである。また、近年の情報技術の急速な発展により、学校教育や子どものオンライン利用の環境が急速に変化していることに伴う連邦法、州法のそれぞれの課題について指摘する。最後に、日本の子どもの個人情報・プライバシー法制度への米国法からの示唆を明らかにする。
著者
石川 冬樹 河井 理穂子
出版者
国立情報学研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

法は様々な状況に対応するため曖昧な文言で記述されている.このため,法が定める権利や義務を考慮して組織運営や情報システム構築・運用を行う際には,判例などで後に与えられる具体的な解釈を適切に反映する必要がある.本研究では,組織やシステムが達成すべきゴールの具体化,分析や変更追跡を行う要求工学の考え方を模倣し,法やその解釈のモデル化・分析手法を構築した.この手法により,情報システム開発者など法の専門家ではない人も,既存の法解釈を踏まえ,具体的な要件に関する分析や判断をしたり,新たな判例が現れた際などにその影響範囲や必要な対応を定めることが容易となる.