著者
石川 冬樹 今井 健男 丸山 宏 吉岡 信和
雑誌
ウィンターワークショップ2018・イン・宮島 論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.1-3, 2018-01-11

近年の深層学習を軸とした機械学習の発展に伴い,機械学習を利用するソフトウェアは急速に社会に浸透しつつある.しかしその一方で,従来型のソフトウェア工学は機械学習の前に全くと言っていいほど通用していない.機械学習ソフトウェアの開発 ・ テスト ・ 運用の方法論は未だに確立できておらず,開発現場では試行錯誤に依っている状況である.この現状を踏まえ,機械学習ソフトウェアに対しては 「機械学習工学」 ともいうべき,新たなパラダイムの確立 ・ 体系化が必要である.以上の認識に立って,本セッションでは,機械学習エンジニア,ソフトウェアエンジニア双方の立場から,機械学習システムに対する問題提起や研究報告,参加者からの取り組み,あるいはこれから取り組んでみたいという思いについて議論したい.
著者
新居 雅行 鄭 顕志 石川 冬樹
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1_60-1_74, 2014-01-27 (Released:2014-03-27)

筆者が開発したINTER-Mediatorは,データベースを使用しWeb経由でアクセスするシステムの開発に利用するためのフレームワークである.予算規模の小さな組織でも業務システムの開発を円滑にできることを目指して開発された.データの表示や書き込みは手続き的なプログラムを作成しなくても宣言的な記述で実現する.開発作業後での表示項目の追加のような小規模な改変であれば,HTMLでの記述や設定ファイルの修正で行えるので,エンドユーザーやデザイナーによるシステム変更作業が可能となる.本稿では,これらの仕組みを実現するフレームワークのアーキテクチャを解説し,フレームワークを利用して構築したシステムの改変が宣言的な手法によってできる点を議論する.
著者
馬場 雪乃 石川 冬樹 本位田 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.119, pp.51-56, 2008-06-23

Folksonomyおけるタグは,コンテンツに関連したキーワードを入力するだけで良いという付与の容易さが利点ではあるが,どのコンテンツにどのタグが付与されているのかといった情報しか持たず,非構造的である.タグを構造的に扱うことでタグの有用性を向上させたいが,そのためには,タグが示す概念を知る必要がある.本論文では,タグが付与されているコンテンツの特徴から,タグの概念を抽出する手法を提案する.特に,「時間」「場所」を表すタグについて,そのタグと関連の強い「時間」「場所」の範囲を,Web上のコンテンツに付与されたタグとそのコンテンツに付与された時間・場所の情報から抽出する手法を示す.
著者
石川 冬樹 河井 理穂子
出版者
国立情報学研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

法は様々な状況に対応するため曖昧な文言で記述されている.このため,法が定める権利や義務を考慮して組織運営や情報システム構築・運用を行う際には,判例などで後に与えられる具体的な解釈を適切に反映する必要がある.本研究では,組織やシステムが達成すべきゴールの具体化,分析や変更追跡を行う要求工学の考え方を模倣し,法やその解釈のモデル化・分析手法を構築した.この手法により,情報システム開発者など法の専門家ではない人も,既存の法解釈を踏まえ,具体的な要件に関する分析や判断をしたり,新たな判例が現れた際などにその影響範囲や必要な対応を定めることが容易となる.
著者
本位田 真一 鄭 顕志 石川 冬樹
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,空間制御ソフトウェアを対象とし,想定外に備えて迅速なソフトウェア進化を実現する分析,設計,検証手法を提案した.具体的には,(1)物理要素の制御に関する要求をゴールモデル上で明示化させるための制御ループ要求パターンをゴールモデル整形プロセス,(2)要求モデル上で明示化した制御ループ要求に対する実現責務を用意にトレース可能とする,制御ループモデルをモジュール単位として扱うソフトウェアアーキテクチャ,(3)制御ループ仕様の誤りを早期に発見可能とするための検証手法を提案した.さらにそれらの成果を統合した開発プロセスを構築し,スマートルーム内の清掃システムを開発し,その効果を評価した.
著者
鄭 顕志 清水 遼 高橋 竜一 石川 冬樹
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1_49-1_59, 2014-01-27 (Released:2014-03-27)

実行時に起こる変化を検知し,要求を満たし続けるようソフトウェアの構造・振る舞いを自身で変更するソフトウェアは,自己適応ソフトウェアとして,その有用性が認知されている.自己適応ソフトウェア開発では,従来のアプリケーションロジックに加え,自己適応性のためのロジックを設計する必要がある.本論文では,近年特にソフトウェア工学の分野で議論されている,自己適応ソフトウェアのための自己適応性設計に関する研究動向を調査する.本論文では,自己適応性のロジックをモデル化する手法として広く用いられている,Monitor-Analyze-Plan-Execute-Knowledgeループの観点から,各要素の概要,研究課題,既存研究のアプローチを紹介し,今後の研究課題について議論する.
著者
前岡 淳 田辺 良則 石川 冬樹
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.3_109-3_122, 2013-07-25 (Released:2013-08-31)

Java PathFinder (JPF)に代表されるソフトウェアモデル検査技術は,テスト工程における不具合検出に有効であるが,状態爆発への対応が課題となる.この課題を解決する手法として優先度に基づくヒューリスティック探索手法が提案されている.プログラムによって適する探索手法や優先度の付け方が異なるため,有効なヒューリスティック探索手法が多数存在することがのぞましい.本論文では,「範囲限定探索」に基づくヒューリスティック探索手法を提案する.従来手法は,ヒューリスティック関数によって各状態から不具合に早く到達できるかを見積もり,これに基づいて探索順序を決定する.これに対して提案手法では,「探索打ち切りポリシー関数」によって各状態から不具合に早く到達できるかを判断し,見込みが低い場合にはその状態からの探索を打ち切る.提案手法の有効性を検証するためにJPFに実装し,検証ツール評価用に作成されたテストプログラムを用いて既存手法との比較実験を行った.Javaによるテストプログラムを用いた実験の結果,提案手法が状態数比で2倍以上優位となるケースを確認し,ヒューリスティック探索の適用の幅が広がることを示した.
著者
本位田 真一 深澤 良彰 吉岡 信和 石川 冬樹 鄭 顕志
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

次世代のソフトウェアであるユビキタスサービスの基盤インフラとなる,オープン無線センサーネットワーク構築のためのミドルウェアを研究開発し,公開した.本ミドルウェアを利用することで,長期にわたって安定運用が可能な無線センサーネットワークを構築することが可能となる.
著者
片渕 聡 鄭 顕志 高橋 竜一 深澤 良彰 石川 冬樹 本位田 真一
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

近年,イベントによって呼び出され処理を行い通知するイベント駆動型Webサービスが注目を浴びている.現在の要求/応答型サービスを対象としている検索技術では,イベントに関する要求を満足するWebサービスを探し出すことができない.本研究ではイベント駆動型Webサービスの検索を実現するために,要求とサービス記述双方のイベント制約のマッチングを行う.
著者
石川 冬樹 田原 康之 吉岡 信和 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.1614-1629, 2004-06-15

連携プロセスを手軽に,プラットフォームに依存しない形で記述するBPEL(Business Process Execution Language for Web Services)のように,分散コンポーネントの動的な連携のためのWebサービス技術への取り組みがさかんに行われている.Webサービス連携は今後,無線接続されたモバイルデバイスで構成されるようなパーベイシブネットワーク等様々な環境に適用されていくと考えられる.しかしそのような環境においては,比較的低速で不安定な無線通信路等の資源制約の問題に対処する必要がある.本研究ではこの問題に対しモバイルエージェント技術を適用し,Webサービス連携を行うモバイルエージェントの動作記述のための枠組みを提案する.この枠組みでは,連携ロジックをBPELを用いて記述し,それに対し移動およびクローニングというモバイルエージェントの物理的なビヘイビアをルール記述として付加する.この分離により,BPEL記述を変更することなしに環境条件に応じて物理的な振舞いを追加したり変更したりすることができる.本論文では特に,形式言語Mobile Ambientsを用いてこの枠組みの意味定義を行い,またBPELの意味論が保存されていることを示す.Research on the Web Service technologies for dynamic integration of distributed components has recently commenced, including BPEL (Business Process Execution Language for Web Services) for specifying an integration process easily and platform-independently. Web Services integration is to be applied in various environments, for example, pervasive networks with wireless mobile devices. However, in such environments it is necessary to deal with constraints in resources, such as the relative narrowness and instability of wireless connections. This work adopts the mobile agent technology in response to this problem and presents a framework for description of agents' behaviors for integration. In this framework, the integration logic is described using BPEL, and physical behaviors of mobile agents, including migration and cloning, are added to the BPEL description as simple rules. This separation makes it possible to add or change physical behaviors according to environmental conditions without modification of the BPEL description. This paper especially concentrates on formal definition of the semantics of our framework using a formal language, Mobile Ambients, and proves preservation of the BPEL semantics.