著者
河原崎 里子 杉村 乾
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.94, no.2, pp.95-99, 2012-04-01 (Released:2012-06-14)
参考文献数
27
被引用文献数
3 5

山菜やきのこは誰もが採集できる森の恵である。これらの利用と生育環境条件との関係は必ずしも十分には明らかにされていない。本研究では, これらを個人が採集したり, または, 団体 (個人以外の企業や自治体など) が広報・販売等で利用したりすることの地域性と生育環境との関係性を把握した。インターネット検索エンジンを利用し, 全国133市町村を対象に所定キーワードを与え, ヒット件数とその内容から各地の採集頻度を表す指標を算出した。この指標を市町村の人口, 森林面積, 気温, 積雪日数などで説明する重回帰モデルで解析した結果, 年平均気温が低い, または, 積雪日数が多い地域で山菜, きのこともに採集頻度が高いことが示された。また, 個人は天然林面積が大きなところで採集するのに対し, 団体ではその傾向は見られず, 様々な森林を利用していた。個人は景観が美しい場所で採集し, 採集をレジャーと捉える傾向があるのに対し, 団体は確実な採集のため対象の種の生育適地で採集すると考えられた。
著者
松本 陽介 小池 信哉 河原崎 里子 上村 章 原山 尚徳 伊藤 江利子 吉永 秀一郎 大貫 靖浩 志知 幸治 奥田 史郎 石田 厚 垰田 宏
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.53-62, 2002-12-25 (Released:2017-04-03)
参考文献数
29
被引用文献数
1

関東地方の丘陵部を含む平野部全域を対象として,スギなどの樹木について衰退の現況を,目視による樹木衰退度判定法によって調査した。その結果,スギの衰退が最も顕著であり,ヒノキなどの常緑針葉樹類,イチョウ,ケヤキなどにも衰退が認められた。いっぽう,メタセコイアおよびヒマラヤスギでは衰退個体がほとんど見いだせなかった。スギの衰退は,関東平野のほぼ全域で認められ,関東平野の北西部に位置する前橋市周辺や熊谷市周辺,および久喜市周辺,これらに隣接する群馬県下および埼玉県下の利根川沿いの地域で特に著しかった。次いで,水戸市北方の那珂川や久慈川沿いの地域,および銚子市周辺の太平洋に面した地域で衰退度が高く,千葉市周辺および町田市周辺でも比較的衰退度が高かった。