著者
河口 貴昭 酒匂 美奈子 吉村 直樹 高添 正和 柳 富子
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.106, no.4, pp.536-541, 2009 (Released:2009-04-06)
参考文献数
10

42歳男性,HIV感染進行期に全大腸炎型の潰瘍性大腸炎を発症した.緩解導入療法が奏効したが,HIV感染は進行したため,多剤併用療法(HAART)を行った.HIVウイルス量は激減しCD4リンパ球数は回復,さらに潰瘍性大腸炎は無治療で緩解を維持した.潰瘍性大腸炎を合併したHIV感染の報告は本邦初であるが,HIV感染進行期の免疫異常と炎症性腸疾患発症との関連が示唆される興味深い症例である.