著者
高添 正和 畑田 康政 金井 隆典
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.3000-3013, 2011 (Released:2011-11-07)
参考文献数
45

クローン病画像診断及び治療の変遷クローン病に対しては,腸管病変の部位,範囲,解剖学的重症度を踏まえてこそ合理的治療が可能となる.画像情報はクローン病の治療選択に必須である.CDを診断する上で,ひとつだけでゴールドスタンダードとなる基準はない.診断は臨床的評価のほか内視鏡的,組織学的,放射線学的および/または生化学的検査の組み合わせで確定される.小腸CDが疑われる症候性患者で狭窄が除外された場合,回腸終末部の内視鏡検査が正常もしくは不可能な場合,またはX線透視もしくは断面イメージングで病変が認められない場合,カプセル内視鏡検査を検討する.X線検査,特に小腸二重造影検査は粘膜病変および腸管壁全層の病態を把握するのに最も有用である.この検査はCDで最も重要な小腸の過去,現在の病態を評価する上で欠くべからざるものである.またダブルバルーン小腸内視鏡は小腸病変部の生検が可能となり,さらには小腸狭窄部を拡張するのにも用いられる.
著者
河口 貴昭 酒匂 美奈子 吉村 直樹 高添 正和 柳 富子
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.106, no.4, pp.536-541, 2009 (Released:2009-04-06)
参考文献数
10

42歳男性,HIV感染進行期に全大腸炎型の潰瘍性大腸炎を発症した.緩解導入療法が奏効したが,HIV感染は進行したため,多剤併用療法(HAART)を行った.HIVウイルス量は激減しCD4リンパ球数は回復,さらに潰瘍性大腸炎は無治療で緩解を維持した.潰瘍性大腸炎を合併したHIV感染の報告は本邦初であるが,HIV感染進行期の免疫異常と炎症性腸疾患発症との関連が示唆される興味深い症例である.