著者
河合 弘康
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.311-317, 1996-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1 2

食生活における高級化, あるいは食の個性化への傾向は年々増している。パン食においても同様で, 我が国独自の酒種を用いたパンも魅力ある商品となっている。長年, パン酵母の研究をされてきた筆者に, 掛け継ぎ方式による酒種の製法と生地発酵力, 並びに速醸方式による醸造酵母の酒種発酵特性と液内発酵力に対する食塩の影響などについて興味深い解説をしていただいた。
著者
河合 弘康
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.374-381, 1993-06-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
25
被引用文献数
1
著者
バグム ナズニーン 横井川 久巳男 寺本 あい 磯部 由香 河合 弘康
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.729-733, 1999-07-15

塩化ナトリウムを含む数種の培地で増殖したパン酵母の発酵力を,数種のタイプの生地中で評価した.3種類の増殖培地を実験に用いた.すなわち,YPG培地(5%グルコース,1%ペプトン,0.5%酵母エキス,0.1%リン酸一カリウム,0.1%硫酸マグネシウム・7水塩,pH5.6),YPS倍地(2%スクロース,4%ペプトン,2%酵母エキス,0.2%リン酸一カリウム,0.1%硫酸マグネシウム・7水塩,pH5.6),MO培地(1%尿素,0.2%リン酸一カリウム,5%糖蜜由来糖分,pH5.6)である.これらの培地への3%塩化ナトリウムの添加は,増殖培地の種類にかかわらずパン酵母の増殖を明らかに抑制した(細胞収量は,定常期において15〜60%低下した).これらの塩ストレスにさらされた細胞の発酵力を調べたところ,増殖培地や生地のタイプにかかわらず,塩化ナトリウム非存在下で増殖した細胞より高い発酵力を示した.塩化ナトリウムの存在による発酵力の増加率は,3%塩化ナトリウムを含むYPSまたはYPG培地と5%グルコースを含む生地を用いた場合が最大であった(45%の増加率).しかしながら,発酵力の増加率は,増殖培地の種類にかかわらず,無糖生地では低いレベルに留まった(2〜7%の増加率).酵母の発酵力は,主に糖の取り込み速度によって制限されることから,塩化ナトリウム存在下で増殖したパン酵母の高い発酵力は,糖取り込み速度の増加によるものと推定される.また,増殖培地中の塩化ナトリウムの存在は,種々のサッカロミセス酵母の発酵力も高めた.