- 著者
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バグム ナズニーン
横井川 久巳男
寺本 あい
磯部 由香
河合 弘康
- 出版者
- 社団法人日本家政学会
- 雑誌
- 日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.7, pp.729-733, 1999-07-15
塩化ナトリウムを含む数種の培地で増殖したパン酵母の発酵力を,数種のタイプの生地中で評価した.3種類の増殖培地を実験に用いた.すなわち,YPG培地(5%グルコース,1%ペプトン,0.5%酵母エキス,0.1%リン酸一カリウム,0.1%硫酸マグネシウム・7水塩,pH5.6),YPS倍地(2%スクロース,4%ペプトン,2%酵母エキス,0.2%リン酸一カリウム,0.1%硫酸マグネシウム・7水塩,pH5.6),MO培地(1%尿素,0.2%リン酸一カリウム,5%糖蜜由来糖分,pH5.6)である.これらの培地への3%塩化ナトリウムの添加は,増殖培地の種類にかかわらずパン酵母の増殖を明らかに抑制した(細胞収量は,定常期において15〜60%低下した).これらの塩ストレスにさらされた細胞の発酵力を調べたところ,増殖培地や生地のタイプにかかわらず,塩化ナトリウム非存在下で増殖した細胞より高い発酵力を示した.塩化ナトリウムの存在による発酵力の増加率は,3%塩化ナトリウムを含むYPSまたはYPG培地と5%グルコースを含む生地を用いた場合が最大であった(45%の増加率).しかしながら,発酵力の増加率は,増殖培地の種類にかかわらず,無糖生地では低いレベルに留まった(2〜7%の増加率).酵母の発酵力は,主に糖の取り込み速度によって制限されることから,塩化ナトリウム存在下で増殖したパン酵母の高い発酵力は,糖取り込み速度の増加によるものと推定される.また,増殖培地中の塩化ナトリウムの存在は,種々のサッカロミセス酵母の発酵力も高めた.