著者
北川 章 細江 智夫 河合 賢一 北川 弘之 河合 清
出版者
日本マイコトキシン学会
巻号頁・発行日
no.2, pp.65-69, 2019 (Released:2019-12-03)

Eupenicillium sheariiから分離された新規のマクロライド系抗生物質であるeusherilideの抗真菌性活性に関する分子機序を明らかにする目的で,新鮮な単離ラット肝ミトコンドリアを用いてミトコンドリアの呼吸機能について検討した。Eusherilideは,L-グルタミン酸系とコハク酸酸化系呼吸の両方を阻害した。この阻害は,ロテノンとアンチマイシンAの阻害部位の上に電子伝達シャントを生成するN,N,N',N'-テトラメチル-p-フェニレンジアミン(TMPD)およびシトクロムcオキシダーゼのための人工基質であるアスコルビン酸によって回復されなかった。シトクロムの酸化還元スペクトルにおいて,シトクロムa,b,cの全てがeushearilide存在下で還元型を保っていた。このことから,eushearilideが電子伝達系のシトクロムcオキシダーゼ(complex IV)を阻害することが示唆された。EusherilideはKCl等張溶液の中で懸濁されたミトコンドリアの膨化を誘導した。このミトコンドリア膨化の誘導は,内膜で透過性孔の生成を示すシクロスポリンAによって阻止された。これらの結果から,eushearilideがミトコンドリアの電子伝達系のcomplex IV部位(シトクロムcオキシダーゼ)の阻害により呼吸機能を減弱させ,ミトコンドリアを膨化させることが示唆された。
著者
駒井 信一郎 細江 智夫 野沢 幸平 オカダ カオル デ・カンポス・タカキ ガルバ・マリア 福島 和貴 宮治 誠 堀江 義一 河合 賢一
出版者
Japanese Society of Mycotoxicology
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.11-18, 2003-01-31
被引用文献数
3 18

新たに分離された糸状菌102菌株の培養エキスについて病原性糸状菌2種および病原性酵母2種を用いて抗真菌性を調べた結果,35菌株に抗真菌活性が認められた.今回は,APBAをはじめとする各種アスペルジルス症の原因菌であるアスペルジルス·フミガツスに対して特異的に抗菌活性を示したアスペルジルス·ベルシカラー·グループに属するIFM 51759株に着目し,その成分検索を行ったところ,3種のピラノン誘導体,アスペルリンとその立体異性体及びアセチルフォマラクトンとともに新規フラノン誘導体エピムサシンDを得たので,その構造を各種機器データの解析から推定した.今回得られた4化合物について抗アスペルジルス·フミガツス活性を検討したした結果,アスペルジルス·フミガツスに対してのみ抗菌活性を示したアスペルリンとアセチルフォマラクトンがその生産量と活性の強さからIFM51759株の活性本体と想定した.また,フラノン誘導体エピムサシンDはピラノン誘導体とは異なり,弱いながらアスペルジス·ニガーにも抗菌活性を示した.