著者
武藤 敏孝 高月 浩 萬納寺 聖仁 河村 京子 大藏 尚文 大島 孝一
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.912-916, 2017 (Released:2017-09-05)
参考文献数
15

症例は37歳女性。子宮頸がん検診にて異常を指摘され来院した。子宮頸部生検にて粘膜下にCD20陽性の異常リンパ球が巣状に増殖し,MALTリンパ腫からびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫へのtransformationと診断された。Chlamydia trachomatis(C.trachomatis)による子宮頸管炎を合併しており,除菌治療を施行したところ,4ヶ月後に行った生検ではCD20陽性の異常リンパ球はほとんど認めず,リンパ腫病変は寛解と判断した。その後現在まで無治療にて再燃兆候は認めていない。MALTリンパ腫と感染症の関連については多くの報告があるが,胃以外について定見はない。子宮頸部MALTリンパ腫は稀であり,またC.trachomatisと子宮頸部MALTリンパ腫との関係は現在のところ不明である。検索しえた限りで報告例も確認できなかった。今後同様の症例蓄積と検討が望まれる。