著者
小林 由実 上田 善博 加藤 邦人 石田 康行 河村 益徳 小川 宣子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 70回大会
巻号頁・発行日
pp.160, 2018 (Released:2018-07-28)

目的 天ぷらのおいしさは衣と素材から評価される。衣は水分蒸発により得られるサクサク感、素材は天ぷら中の水分により蒸されて得られる食感や旨みから評価される。このことから天ぷらのおいしさは揚げ過程の水分の動きが重要になると考える。また、これまでおいしい天ぷらを揚げるための適切な状態(様子)は明確にされていない。そこで、油面の様子と水分の動きの関係を調べ、それが出来上がりに及ぼす影響を明らかにし「揚げ過程の油面の様子からおいしさを評価する方法」を検討した。方法 1)試料:さつまいもに衣(薄力粉:卵水=30:50g)をつけ、油(160,180,200℃)で4分加熱した。2)油面の様子:泡により発現する油面のゆらぎを高速度カメラで撮影し、画像解析した。3)水分の動き:蒸発量は秤の上で天ぷらを揚げ重量減少量から調べた。衣と素材の水分の動きは衣の水分を重水(H218O)にし、衣と素材の水分を区別して推定した。4)衣と素材の品質:衣は水分量、気泡数(破断応力波形を微分波形へ変換した時のマイナスピーク数)、素材は水分量、硬さ、糊化度(グルコアミラーゼ法、SEM)、おいしさは官能評価から調べた。結果 油面の様子と水分蒸発量は一致した。衣の水分は揚げ直後に多く蒸発し、これが衣のサクサク感に、素材の水分は揚げ直後から蒸発したが衣から移動した水分により素材中の水分が保たれ、これが出来上がりの硬さや糊化度に影響すると予想した。