著者
小林 由実 和田 真 山田 和 加藤 邦人 上田 善博 小川 宣子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.164, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】天ぷらの衣は揚げる工程での具材やおいしさにも影響を及ぼす。すなわち天ぷらのおいしさは揚げた後の具材と衣の両面から評価を行うが、本研究では揚げ温度が衣の品質に及ぼす影響について衣の水分や物性だけでなく、異なる揚げ温度において水分蒸発により発生する気泡、油面の波を経時的に測定し、画像解析を行った。これにより油の中で起こる現象や天ぷらの状態を推定し、天ぷらの衣がおいしく出来上がる要因を明らかにすることを目的とした。【方法】天ぷらはさつまいも(直径46±1mm、厚さ8mmの輪切り)に衣(薄力粉:卵:蒸留水=30:12.5:37.5)をつけ、160℃、180℃、200℃で4分間揚げ調製した。天ぷらの衣をクリープメータによる破断応力測定から破断応力・もろさ、破断応力波形を微分波形(破断応力の差/ひずみ率の差)に変換し、得られたマイナスピークの数から衣の気孔数、値から気孔の大きさを推定した。また、衣をつけた具材の水分量を揚げ工程で経時的に測定するとともに気泡の発生による油の表面の揺らぎを画像処理によりコントラストとして捉え、水分蒸発の過程を推定した。【結果】180℃や200℃で料理された衣の破断応力は160℃に比べ値は大きく、マイナスピークの数は多かった。また、マイナスピークの値は油の温度が上がるにつれて大きくなった。これは、180℃・200℃で揚げた衣はグルテンが凝固し、そこに大きな気孔が多く存在していることが推定できる。この原因として180℃や200℃での揚げた場合の水分蒸発量は20秒までに顕著に見られ、それ以降は低下して行ったが、160℃の場合は細かな気泡が継続し水分蒸発が不十分であった。これより、具材を投入後、20秒までの水分蒸発量が衣の出来上がりに影響を及ぼしていることが考えられた。
著者
小川 宣子 小林 由実 山中 なつみ
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.739-749, 2021 (Released:2021-11-27)
参考文献数
13

ガス加熱と誘導加熱 (IH) の違いが炒め加熱と焼き加熱調理の仕上がりに及ぼす影響について, 炒飯, ほうれん草炒め, 厚焼き卵の味, 物性, 組織構造から調べた. フライパンで水を加熱した時の昇温速度が同程度になるように火加減を設定した. 強火で予熱したフライパンと卵焼き器の鍋底と側面温度は, ガス加熱の方がIHの場合に比べて均一かつ高温になった. 炒飯とほうれん草炒めは強火で各々同じ時間炒め, 厚焼き卵は中火で卵の温度が同じになるよう作製した. ガスコンロで炒めた炒飯はIHヒーターに比べ, 食塩相当量が高く, 付着性が低かった. 炒飯の飯を走査電子顕微鏡で観察した結果, ガス加熱の場合では, IHの場合には見られない表面部分の崩れが観察された. ガスコンロで炒めたほうれん草はIHヒーターに比べ, 組織構造が保持されていた. 厚焼き卵の加熱時間はガス加熱の方がIHに比べて短かった. ガスで加熱した厚焼き卵の表面構造には太い均一な網目構造が観察され, 表面の凝集性が高いことの要因と考えられた. 本研究における加熱条件では, ガス加熱の方がIHに比べて食材からの水分蒸発やたんぱく質の熱変性が促進され, 炒め加熱ならびに焼き加熱調理の仕上がりに影響したと考えられる.
著者
小林 由実 小川 進 田中 喜典 小川 宣子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.183, 2011

<B>目的</B> 炊飯に用いる水のイオンの種類やその含量などの水質が飯の品質に影響を及ぼすことを報告している<SUP>1)</SUP>。そこで本研究では、浄水器により調整した水が飯の品質に及ぼす影響についてカルシウムイオンを中心に検討を行った。<BR><B>方法</B> 炊飯には、原水を浄水カートリッジで浄化処理した水(以下:浄水)、浄水をイオン交換樹脂により処理した水(以下:イオン交換水)、そして硬度が浄水に比べ100mg/L高くなるように塩化カルシウムを添加した水(以下:調整水)の3種類を用い、カルシウムイオン濃度は原水が15.7mg/L、用いた3種類の水はそれぞれ15.7mg/L, 2.5mg/L,51.5mg/Lであった。飯の品質はクリ―プメータ測定及び官能検査から硬さ、電子水分計から水分、でんぷんの糊化度はグルコアミラーゼ法と走査電子顕微鏡による組織構造から調べた。また、最初の米の容積に対する炊飯後の容積の割合(膨張率)から飯の「ふっくらさ」を検討した。<BR><B>結果</B> イオン交換水で炊飯することで浄水に比べ、飯の膨張率は高く、水分量が多く、軟らかな飯となり、糊化度の値も高く、網目構造も観察でき、優れた品質の飯となることが示された。一方、調整水で炊飯した飯は浄水に比べ、膨張は悪く、飯の水分量は少なく、でんぷんの糊化度も低かった。これよりカルシウムイオン濃度は飯の品質に影響を及ぼし、カルシウムの除去は飯の品質を上げる効果があることが明らかとなった。<BR>[文献]1)小川宣子、稲垣明子、山中なつみ、下里道子:炊飯溶液中のカルシウムとナトリウムが飯の性状に及ぼす影響(第1報)、日本家政学会誌、57(10)、pp669-675(2006)
著者
小林 由実 内方 文朗 上田 善博 加藤 邦人 小川 宣子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.207, 2014 (Released:2014-07-10)

目的 おいしい天ぷらとは素材のうまみが保持され、さくさくとした衣に覆われているものと評価できる。天ぷらに使用する食材は、澱粉性食品のさつまいも、タンパク質食品の魚介類、野菜類など多種にわたるため、それぞれの素材のうまみが生かすための揚げ方について温度や時間などから検討されている。一方、家庭では、温度計に頼らず、視覚的に判断を行っている。そこで本研究では、160℃,180℃,200℃と異なる温度で食材を揚げ、その時の油の表面の様子を定量化するとともに、揚げ終わった時の衣の評価を水分含量、物性、画像処理から測定し、調理中の様子から天ぷらの出来上がりを推定することとした。 方法 1)試料:さつまいもを用い、衣(薄力粉:卵水=30:50g)をつけ、油(160℃,180℃,200℃)で4分(加熱2分後裏返す)加熱した。2)測定項目①調理中の変化:油面の様子を高速度カメラで撮影し、調理中に発生した気泡や波によるゆらぎをcontrastの時系列変化から調べた。②調理後の変化:衣の水分含量、物性を破断解析、凹凸の程度を画像処理によるcontrastから評価した。 結果 ①調理中の変化:160℃で調理した場合は油面のゆらぎは少なく、180℃は投入直後と20秒後で大きくゆらぎ、200℃は投入直後から非常に大きかった。②調理後の変化:油の温度が高くなるにつれ水分含量は少なく、破断応力は大きく、衣の凹凸は160℃は少なく平坦であり、180℃は全体に存在し、200℃はむらがあった。調理中の油面の様子が衣の形状に影響を与えると考える。
著者
小林 由実 上田 善博 加藤 邦人 石田 康行 河村 益徳 小川 宣子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 70回大会
巻号頁・発行日
pp.160, 2018 (Released:2018-07-28)

目的 天ぷらのおいしさは衣と素材から評価される。衣は水分蒸発により得られるサクサク感、素材は天ぷら中の水分により蒸されて得られる食感や旨みから評価される。このことから天ぷらのおいしさは揚げ過程の水分の動きが重要になると考える。また、これまでおいしい天ぷらを揚げるための適切な状態(様子)は明確にされていない。そこで、油面の様子と水分の動きの関係を調べ、それが出来上がりに及ぼす影響を明らかにし「揚げ過程の油面の様子からおいしさを評価する方法」を検討した。方法 1)試料:さつまいもに衣(薄力粉:卵水=30:50g)をつけ、油(160,180,200℃)で4分加熱した。2)油面の様子:泡により発現する油面のゆらぎを高速度カメラで撮影し、画像解析した。3)水分の動き:蒸発量は秤の上で天ぷらを揚げ重量減少量から調べた。衣と素材の水分の動きは衣の水分を重水(H218O)にし、衣と素材の水分を区別して推定した。4)衣と素材の品質:衣は水分量、気泡数(破断応力波形を微分波形へ変換した時のマイナスピーク数)、素材は水分量、硬さ、糊化度(グルコアミラーゼ法、SEM)、おいしさは官能評価から調べた。結果 油面の様子と水分蒸発量は一致した。衣の水分は揚げ直後に多く蒸発し、これが衣のサクサク感に、素材の水分は揚げ直後から蒸発したが衣から移動した水分により素材中の水分が保たれ、これが出来上がりの硬さや糊化度に影響すると予想した。
著者
小林 由実 上田 善博 加藤 邦人 石田 康行 小川 宣子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.160, 2017 (Released:2017-07-08)

目的 天ぷらの調理過程における経時的な水分蒸発量の変化が油表面に発生する気泡に伴う油のゆらぎ(以下、油の表面情報)と関係があることを報告し、これが天ぷらの衣または素材由来かを、衣の水分を重水に置き換え推定した。衣から素材への水分移動も同様の方法で推定し、水分移動は素材の硬さや糊化度に影響することを予想した1)。本研究では実験を繰り返すことで予想した水分挙動と素材への影響を確認し、油の表面情報が天ぷらのおいしさに及ぼす影響を検討した。方法 天ぷらはさつまいも(10×10×8㎜:水分66%)に水分62%に調製した衣(薄力粉1g、重水1.6g)をつけ、160℃、180℃、200℃の油で3分間揚げて作成した。加熱開始13秒後と3分後の衣とさつまいもの水(H216O)と重水(H218O)をGCMSの測定から水分挙動を、常圧乾燥法から水分量、グルコアミラーゼ法と走査型電子顕微鏡像から糊化度を調べた。 結果 揚げ温度160℃において加熱13秒後では、他の温度に比べ衣からさつまいもへの水分移動は少なく、糊化度や細胞破壊も小さかったが、さつまいもの水分は66%と多かった。加熱3分後は衣からの水分移動が見られ、さつまいもの水分は62%と多く、糊化度も高く、細胞破壊が見られた。さつまいもの出来上がりは衣からの水分移動が影響していると推定した。 [文献]1)小林他:日本調理科学会平成28年度大会要旨集、p90(2016)
著者
小林 由実 上田 善博 加藤 邦人 小川 宣子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.17, 2015 (Released:2015-07-15)

目的 天ぷらの「おいしさ」は素材の旨味が保持され、さくさくした衣に覆われたものと評価できる。この「おいしさ」の評価を調理過程の指標から推定できる可能性を澱粉性食品のさつまいもから検討した1)。その結果、調理過程での水分蒸発量が天ぷらの出来上がりに影響を及ぼすことを明らかにした。そこで、本研究は調理過程における素材と衣の性状から調理過程中の水分挙動について検討を行った。 方法 天ぷらはさつまいも(直径46mm、厚さ8mm)に衣4.6g(薄力粉30g:卵水50g)をつけ、180℃の油(日清キャノーラ油)1300gで表裏それぞれ2分揚げて作成した。調理過程の水分蒸発は、油表面の泡の発生状況を高速度カメラで撮影し、油のゆらぎによる画像処理のcontrast値と秤の上で天ぷらを揚げた時の重量減少量の両者から経時的に調べた。あわせて、さつまいもと衣の調理過程中の性状変化を水分量、グルコアミラーゼ法による糊化度、走査電子顕微鏡像から調べた。結果 油面の泡の発生量はさつまいも投入1秒後と17秒後に多くみられ、これは水分蒸発量ともほぼ一致していた。さつまいも投入1秒後は主として衣から水分が蒸発し、17秒後は衣からさつまいもへの水分移動が見られ、合わせてさつまいもの細胞破壊が見られたことから、この時間は糊化が始まる時ではないかと推定した。[文献]1)小林他:日本家政学会第66回大会研究発表要旨集、p70(2014)
著者
小林 由実 上田 善博 加藤 邦人 石田 康行 小川 宣子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.99, 2016 (Released:2016-08-28)

目的 天ぷらの「おいしさ」は素材の旨味が保持され、さくさくした衣に覆われたものとして評価できる。天ぷらを揚げている過程での素材および衣から蒸発している水分の様子(油の表面情報)を画像処理分析から評価し、水分の蒸発状況が出来上がり(おいしさ)に影響を及ぼすことを澱粉性食品のさつまいもを用いて明らかにした1,2)。そこで、本研究は揚げている時の素材や衣の水分挙動と油の表面からの水分蒸発状況(油の表面情報)との関連について検討し、揚げている時の油の表面情報が天ぷらのおいしさに及ぼす影響につい考察を行った。 方法 天ぷらの素材としてさつまいもを用い、揚げている時の水分蒸発は、油表面の泡の発生状況を高速度カメラで撮影し、油のゆらぎによる画像処理のcontrast値と秤の上で天ぷらを揚げた時の重量減少量の両者から経時的に調べた。さつまいもの出来上がり評価はレオロメーターによる硬さ、グルコアミラーゼ法による糊化度、走査電子顕微鏡像から調べた。また、素材および衣の水分挙動は18H2Oを用い、GCMSにより測定を行った。 結果 油の表面情報は水分蒸発量ともほぼ一致していた。さつまいも投入直後に主として衣から水分蒸発が生じ、その後、さつまいもの水分量から衣からさつまいもへの水分移動が推定でき、合わせてさつまいもの細胞破壊が見られたことから、この時期に糊化が始まるのではないかと推定した。これらの推定した水分の挙動は18H2Oを用い、GCMSにより測定を行った結果、推定を裏付ける傾向であった。 [文献]1)小林他:日本家政学会第66回大会研究発表要旨集、p70(2014) 2)小林他:日本家政学会第67回大会研究発表要旨集、p49(2015)
著者
桑野 靖子 河原 ゆう子 佐宗 洋子 小林 由実 山中 なつみ 小川 宣子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.2, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】加水量,加熱方法,加熱工程の異なる炊飯方法で調理された飯について,甘みと香りの官能評価に対する理化学的な測定値に相関性があるか否かを検討した。 【方法】圧力IH炊飯器,IH炊飯器,ガス炊飯器の3機種で調理された飯とガス炊飯器の飯と同じ硬さとなるよう加水量を調整した飯の4種類を対象に,甘みの評価値として,糊化度と唾液アミラーゼによる人工消化後の還元糖生成量を測定した。香りの評価値として,主要な臭気成分量を定量化し,閾希釈倍数を算出した。官能評価は40歳代女性36名を対象に,各理化学的評価に対応した指標による評価と好みを炊きたてと炊飯後常温で4時間放置した飯(以下冷や)に対して行った。 【結果】「甘み」評価において,糊化度では飯間に差はなかった。人工消化による還元糖生成量ではガス炊飯器の飯とIH炊飯器の飯が有意に多かったが,官能評価ではガス炊飯器の飯と加水量を調整した飯の甘みが強いと評価され,IH炊飯器の飯は最も甘くないと評価された。ごはんの甘み評価には,ごはんの表層部と内部の水分量の違いが関与していると考えられる。「香り」評価手法については,炊きたてと冷やの違いは確認できたが,機種間の違いまでは確認できなかった。
著者
小林 由実 川端 博子 薩本 弥生 斉藤 秀子 呑山 委佐子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, 2012

【目的】 伝統的・文化的な技術や習慣が伝承されにくく、関心も低くなっている中、2008年改訂の中学校学習指導要領の家庭・被服領域において「和服の基本的な着装を扱うこともできる」が明記された。しかし、教師自身の知識・技能が十分でない、教材の確保が困難といった理由から、和服に関する授業の実践例はまだ少ない。この様な現状をふまえ、ゆかたの着装を含む体験的学習を通してきもの文化を次世代に継承する家庭科の教育プログラムを開発し、その学習効果を検証することを目的とする。【授業実践】 本研究では、埼玉大学教育学部附属中学校(2年生4クラス173名)の協力を得て、2011年5月から4週にわたり50分授業を4回実施した。授業は、和服の基礎的内容の学習にはじまり、たたむ、帯を結ぶ、ゆかたを着装する体験学習へと、段階的に進めた。着装技能/ゆかた着装時の気持ち/ゆかたへの興味・関心の視点に関するアンケートと授業ごとの感想をもとに、授業の効果を考察した。【結果と考察】 着装技能の評価 ゆかたの着装技能について、「帯の結び方」等の3項目について8~9割の生徒が理解できたと感じていた。また、写真によるゆかた着装の生徒の自己評価では、「背中心がまっすぐである」等の全ての個別評価と、総合評価「外出できる出来ばえになっている」で有意な相関がみられた。「えり」「すそ」の評価項目では男女とも相関が比較的高い傾向となり、出来ばえに関連する要素とみなされる。男子においては「帯の形が整っている」の相関が最も高く、着付けにおいて帯結びの美しさが総合的な出来ばえに及ぼす影響は大きい。また、教師が同様の評価を行ったところ、5項目について自己評価と教師評価の間に有意な相関がみられた。特に帯に関する項目で、生徒と教師の評価基準が一致する傾向となった。 モデルのゆかた着装時における気持ち ゆかたの着付け体験は2~3人のグループ活動とし、そのうちの一人をモデルとした。授業の前後にモデルを対象にゆかた着装時の気持ちを評価させたところ、「うれしかった」等のゆかたのよさに関する5項目については、全てで高まった。「帯がきつかった」「歩きにくかった」の否定的な2項目においては授業後にはあまり変化せず、比較的低くとどまった。 ゆかたへの興味・関心 授業の前後に、ゆかたへの興味・関心(7項目)を評価させ比較したところ、男女ともに全ての項目で興味・関心が大きく向上した。事後調査においては、「和服について関心がもてた」等の項目で全体の約8割が「(やや)そう思う」と回答した。また、「家族と和服の話をした」の項目では全体の52%が「はい」と回答したことから、授業を通して生徒にきもの文化の継承に関わるきっかけを与えられたと考える。 自由記述の分析 授業後の感想を観点別に分析したところ、帯結びの体験では「帯の形」「長さ調節」「きつさ」が、着付け体験においては、「帯」「おはしょり」が困難な点として最も多く挙げられていた。これらの記述を参考に、要点をおさえた、より簡潔でわかりやすい指導につなげていくことが課題である。