著者
太郎良 和彦 伊礼 彩夏 玉城 盛俊 河野 伸二 安田 慶次 正田 守幸 浦崎 直也 松村 英生
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
pp.18J08, (Released:2018-10-23)
被引用文献数
1 1

パパイヤ奇形葉モザイクウイルス(Papaya leaf distortion mosaic virus: PLDMV)抵抗性を持つ属間雑種個体(パパイヤCarica papaya × Vasconcellea cundinamarcensis)にパパイヤを戻し交雑し,胚培養による戻し交雑個体の作出を試みた.戻し交雑後180~210日に供試した5,762の種子から,胚を持つ45の種子が得られ,最終的に32個体の再生植物体が得られた.PCRによって,性染色体型を調査した結果,32個体の内,19個体に戻し交雑親のY染色体の保有が確認できたことから,戻し交雑個体であることが確認できた.全ての戻し交雑個体は,母本として用いた属間雑種の性染色体を持っていたことから,非還元配偶子が形成されている可能性が示唆された.戻し交雑個体のPLDMV抵抗性を評価するため,PLDMVの人工接種を行った結果,66%がPLDMVに対して全く病徴を示さない抵抗性であった.残りの戻し交雑個体は,接種上位葉に壊疽斑点を生じたが,PLDMVの拡大を妨げた.従って,戻し交雑個体は全てPLDMVに対して抵抗性を有していた.これらの戻し交雑個体は,沖縄県で問題となっているPLDMVへのパパイヤ抵抗性品種育成において有望な育種素材と考えられる.
著者
古屋 典子 河野 伸二 夏秋 啓子
出版者
日本植物病理學會
雑誌
日本植物病理學會報 = Annals of the Phytopathological Society of Japan (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.108-110, 2012-05-25
参考文献数
6
被引用文献数
2

バンチートップ病は,中南米を除く世界各地のバナナ栽培国に広がり,日本の沖縄県では,野原(1968)によって初めて報告された。本病の病原ウイルスは,Babuvirus属バナナバンチートップウイルス(Banana bunchy top virus;BBTV)で,本ウイルスに感染したバナナは,株が著しくわい化して葉は狭く直立し,果実は結実不良となるため,経済的被害が深刻である。そこで,我々は,沖縄県で栽培されている食用バナナおよび繊維用バナナであるイトバショウ(M。balbisiana var。liukiuensis,BBゲノム)において,BBTVに対する感受性を評価したところイトバショウは,BBTVに対して免疫性を有する可能性が認められたので,その結果を報告する。