著者
沼田 大輔
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.353-363, 2008 (Released:2009-04-01)
参考文献数
47
被引用文献数
2 2 1

廃棄物問題への対策としてしばしば議論に上る経済的手法の一つにデポジット制度がある。このデポジット制度に対してこれまで様々な研究において,その有用性が指摘されている。しかしながら,その導入に対して否定的な見解を示す研究も見られ,実際にデポジット制度が廃棄物問題への対策として適用されることは少ない。本稿は,この乖離の原因を探るべく,デポジット制度に関する既存の経済学的研究から,デポジット制度の得失を整理したものである。そして,デポジット制度の得失を考慮した費用便益分析の再検討をおこなう必要があること,デポジット制度導入の課題を克服し,利点を生かす方策に関する研究を深めていく必要があることを提示する。
著者
沼田 大輔
出版者
環境経済・政策学会
雑誌
環境経済・政策研究 (ISSN:18823742)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.39-49, 2018-03-28 (Released:2018-04-27)
参考文献数
32

本稿は,2017年3月に行われた植田和弘教授の退職記念公開シンポジウムにおける筆者の報告内容をもとに,植田教授のデポジット制度に関する言及を踏まえた上で,デポジット制度についての研究の現状と課題を,環境経済・政策学,特にインセンティブの観点から主体別に論じたものである.消費者については,購入時・返却時における様々なアプローチによる定量的な研究がある.生産者については,制度運営主体の負担緩和の観点を中心に,デポジット制度と飲料容器税を合わせたポリシーミックスで捉えることの有用性などを述べている.行政については,供給者サイドや回収拠点のモニタリングの検討などを提起している.
著者
沼田 大輔
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第20回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.19, 2009 (Released:2009-09-25)

大学生活協同組合(以下、大学生協)の中には、弁当容器の回収にデポジット制度を活用しているところがある。本報告では、長崎大学生協における弁当容器デポジット制度について、具体的な仕組み、デポジット制度においてしばしば問題になる負の影響の状況を、視察および関係者の方々へのインタビュー調査をもとに考察し、次の特徴を見出した。(1)不燃ごみの量を減らせている。(2)システムをシンプルにできている。(3)未返却預り金および売上の観点からもデポジット制度に伴う負の影響を抑えられている。