著者
栗山 哲 中山 昌明 友成 治夫 沼田 美和子 林 文宏 疋田 美穂 川口 良人 細谷 龍男
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.1369-1373, 1997-12-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

現在, 除水不全を呈するCAPD患者に有効に作用する薬剤はない. 本研究では, 除水不全を認めるCAPD患者において, 抗プラスミン剤であるトラネキサム酸 (tranexamic acid: TNA) が改善効果を有するか否かを検討した.限外濾過不全I型の除水不全を認めるCAPD患者5例において, 先行するCAPDスケジュールを変更せずにTNA 1500mg/日を2週間経口投与し, その薬理効果を検討した. その結果, 1) TNA投与で一日総除水量は全例で有意に増加した. また, 体重は5例中3例で有意に減少した. 2) TNAはCAPD排液中の電解質, UN, Cr, アルブミン等の総除去量に影響を与えなかった. また, PETのD/PcrやKT/V, PCRにも影響を与えなかった. 3) TNA投与により血中およびCAPD排液中のブラジキニン濃度, 血中の組織プラスミノーゲンアクティベーター (tPA) 濃度は有意に低下した.以上, TNAは除水不全を呈するCAPD患者で除水量を増加させる. その機序は不明であるが, ブラジキニン, tPAの抑制を介した腹膜透過性の変化が関与している可能性が示唆された.
著者
神戸 義人 横田 春樹 山本 侑子 沼田 美和 大沢 愛美 成澤 勉 横須賀 浩二 内藤 祥 裴 英洙
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.576-583, 2016 (Released:2016-11-01)
参考文献数
8

インターネットの普及、およびそのサービスの発展が著しく、インターネット依存(以下、ネット依存)の懸念が広がっている。また、メンタルヘルスや生活習慣との関連性も危惧されている。今回、当財団での健診受診者に対してネット依存に関する調査を実施し、ネット依存度をスコア化することで社会人におけるネット依存の現状を調査した。対象は当財団における2015年度の健診受診者のうち、235名を対象にネット依存の現状を調査した。調査は、Kimberly Young博士の開発したヤングテストを使用した。ネット依存度はヤングテストでスコア化(100点満点)し、40点以上でネット依存傾向ありと判断し、点数が高い方がネット依存度は高度となる。235名のうち、男性129名、女性106名。平均年齢は40.0歳、ネット依存度の平均スコアは34.2点。分布は、20代が44名でスコアが41.6点、30代が67名でスコアが34.9点、40代が87名でスコアが31.6点、50代以上が37名でスコアが30.1点であった。男女別では、男性のスコアが34.7点、女性が33.7点であった。ネットは若年者により多く普及していると言われており、今回の結果からも年代が低いほどスコアが高値となり、特に20代では約60%の回答者にネット依存傾向があった。ネット社会がますます加速する中で、ネットによる弊害も多く発生している。ネット依存による生活の乱れや体調不良等の増加も予測されるため、健診を通じてネット依存による危険性の啓発を検討したい。