著者
沼畑 恭子 赤岩 靖久 吉澤 健太 乗峯 苑子 尾上 祐行 宮本 智之
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.190-194, 2019 (Released:2019-04-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

症例は29歳男性,生来健康.頭痛と発熱が増悪し当院搬送.体温38.3°C,項部硬直著明,脳脊髄液検査で初圧500 mmH2O,細胞数増加,髄液糖/血糖比0.027,クリプトコッカス抗原陽性からクリプトコッカス髄膜脳炎と診断し抗真菌薬治療で症状改善を認めていた.第18病日に全身痙攣,右視野暗点を認め,頭部MRIで両側大脳皮質に散在性の病変が新たに出現した.脳脊髄液中のクリプトコッカス抗原価は低下したがIgG indexは上昇し,症状の増悪,病巣の拡大はクリプトコッカスの病勢悪化ではなく,免疫反応による遅発性増悪と考えステロイドパルス療法を施行し改善した.遅発性増悪に対してステロイド治療は有効である.