著者
安田 菜穂 吉澤 健太郎 福田 倫也 雪本 由美 秦 若菜 原 由紀 正來 隆 頼住 孝二
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.27-32, 2012 (Released:2012-02-08)
参考文献数
13
被引用文献数
1

吃音2例(30代,10代)に流暢性スキル(呼吸コントロール,フレーズ内の語と語の持続的生成,母音の引き伸ばし,軟起声,構音努力の修正)の獲得を目標とした言語聴覚療法(ST)を実施し,ST初回と最終回の文章音読を比較検討した.所要時間中の音読・症状・休止部分を音声分析ソフトで測定し,症状および休止部分を除いた音読部分から音読速度を算出した.音読速度は症例1:初回5.29モーラ/秒→最終回3.29モーラ/秒,症例2:8.86モーラ/秒→6.16モーラ/秒.所要時間中の休止部分の比率は症例1:19.4%→46.7%,症例2:26.2%→38.4%,症状部分は症例1:13.5%→0%.症例2:7.2%→0%.2例の音読の特徴は,初回時の「短く途切れた音読」から,最終回には吃症状の消失に加え,音読速度の低下した「音節,休止の各持続時間の延長した音読」へと変化し,流暢性スキルの獲得が確認された.
著者
沼畑 恭子 赤岩 靖久 吉澤 健太 乗峯 苑子 尾上 祐行 宮本 智之
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.190-194, 2019 (Released:2019-04-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

症例は29歳男性,生来健康.頭痛と発熱が増悪し当院搬送.体温38.3°C,項部硬直著明,脳脊髄液検査で初圧500 mmH2O,細胞数増加,髄液糖/血糖比0.027,クリプトコッカス抗原陽性からクリプトコッカス髄膜脳炎と診断し抗真菌薬治療で症状改善を認めていた.第18病日に全身痙攣,右視野暗点を認め,頭部MRIで両側大脳皮質に散在性の病変が新たに出現した.脳脊髄液中のクリプトコッカス抗原価は低下したがIgG indexは上昇し,症状の増悪,病巣の拡大はクリプトコッカスの病勢悪化ではなく,免疫反応による遅発性増悪と考えステロイドパルス療法を施行し改善した.遅発性増悪に対してステロイド治療は有効である.