著者
波多野 学
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

C2対称性をもつシンプルで安価なキラルビナフチル化合物は、配位子や有機分子触媒として多くの不斉触媒反応で用いられてきた汎用性のある不斉源である。特に、有機分子触媒におけるブレンステッド酸性の強さは触媒活性を特徴づける大きな要因であることから、研究代表者はキラルビナフチルジスルホン酸(BINSA)に着目している。これまでに、初めてのキラルBINSAの不斉合成とそれらを用いる不斉触媒反応の開発を重ねてきた。本研究では、これまでの研究開発を基盤として、合成が困難であったキラル3,3’-ジアリールビナフチルジスルホン酸を創製し、それらを高活性不斉触媒とする新たな触媒反応開発が研究目的である。特に、3,3’位へのアリール基導入により、立体及び電子的効果で従来よりも多様性のある精密触媒設計が可能となる。具体的には(1)3,3’-Ar2-BINSAによるシンプルな精密触媒設計、(2)キラル3,3’-Ar2-BINSAアンモニウム塩触媒の精密設計、(3)自己組織型キラル3,3’-Ar2-BINSAの精密触媒設計を行い、独創的な不斉有機触媒反応へと展開した。
著者
波多野 学
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

有機金属反応剤を用いるカルボニル化合物への炭素-炭素結合生成反応は有機合成化学の基幹反応である。従来の主流はカルボニル基の活性化を促すルイス酸化学であった。しかし、有機金属反応剤そのもの、すなわち炭素-金属結合が活性化できれば、求核性が増大し、反応効率は飛躍的に高まるはずである。研究代表者は種々の実用的な有機金属反応剤の求核能向上に着目し、炭素-金属結合の活性化を基盤とする触媒的炭素-炭素結合生成反応の開発を行い、不斉触媒反応へと展開した。