著者
首藤 裕一 波戸 邦夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.206, pp.13-18, 2013-09-05

仮想化技術およびブロードバンドネットワークの普及に伴い,クラウドコンピューティングの商用利用が進んでいる.これまでに多くの研究でパブリッククラウドが提供する仮想マシン(VM)の性能分析がなされているが,そのほとんどが代表的なクラウド事業者1社のVM性能についての分析であり,得られた知見がクラウド一般に成立するかどうかは未検証である.本研究では,5つのパブリッククラウドの性能を1か月間測定することで,パブリッククラウドの一般的な性能特性を分析する.既存研究の結果と同様に,本測定の対象とした5つのクラウドにおいても,VMの発揮する性能が非常に不安定である(測定値の分散が大きい)こと,および,測定値の分布に複数のまとまりが生じ得ること示す.また,既存の研究では見られなかった特性として,多くのクラウドでVMの性能特性に中長期的な時間変動が現れることを示す.
著者
八木 毅 波戸 邦夫 田邉 正雄 村山 純一 外山 勝保 大崎 博之 今瀬 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.461, pp.103-108, 2007-01-11
参考文献数
5
被引用文献数
3

本稿では,実社会情報に基づくニックネーム通信および接続制御技術によりSocial Networking Service (SNS)のセキュリティを強化する方式を提案する.従来のSNSでは,ユーザ識別子を用いた通信と,登録制や招待制に基づくユーザ間接続制御により,SNSサイト内に,現実社会の人間関係をマッピングしたコミュニティを生成する.これにより,インターネットと比較して,セキュリティを向上させている.しかし,従来方式では,ユーザ識別子がサイト全体でユニークであるため,ユーザ数の増加に伴いユーザ識別子の漏洩に起因したスパム被害およびフィッシング被害が増えていた.さらに,各ユーザがサイトに申告した年齢や住所などのアカウント属性情報と実社会の個人情報の一致性を確保できないため,不正ユーザがアカウント属性を詐称して正規ユーザとして振舞うことができた.これらの問題を解決するために,提案方式では,コミュニティ毎に,各ユーザが設定したニックネームに基づくコミュニティ通信環境を構築する.これにより,スパム被害やフィッシング被害を防止する.さらに,提案方式では,各コミュニティ管理者の要求に応じて,コミュニティ参加希望ユーザのアカウント属性情報と実社会の個人情報の一致性を確認する.これにより,アカウント属性情報の詐称を防止し不正ユーザを排除できる.提案方式では,情報の到達範囲を意図的に限定することが可能となり,その結果としてセキュリティが強化できる.